池波正太郎の「剣客商売 第15巻 二十番斬り」を読んだ感想とあらすじ

覚書/感想/コメント

★★★★★★★★☆☆

シリーズ第十五弾。

短編”おたま”では、かつての剣豪が年をとり、昔日の面影をとどめない姿をさらけ出している。小兵衛とは対照的であるが、その分だけに寂寥感の漂う作品である。

“二十番斬り”の物語の最後では田沼意次の長男である田沼意知が斬りつけられる。結局、意知は死んでしまい、この後から田沼意次の没落が始まる。秋山大治郎と三冬夫妻にとっては非常に影響のある出来事である。時代も田沼意次から松平定信へと移ろうとしている。

内容/あらすじ/ネタバレ

おたま

行方をくらましていた白い牝猫のおたまが戻ってきた。そして秋山小兵衛をどこかへ誘うようなし草を見せる。小兵衛がおたまにくっついていくと、その先の家屋の中では今まさに女が浪人どもに凌辱されようとされていた。

傍らには老人が縛られていた。小兵衛はこの浪人どもを追い払うが、そのあとで老人を見て驚く。老人は夏目八十郎といい、凄腕の剣客だった男である。

二十番斬り

秋山小兵衛を目眩が襲った。こんな事は今までなかったことだけに、小兵衛もおはるも驚く。小川宗哲に診てもらうと、小兵衛がようやくに老境にさしかかった証拠だという。一日くらい安静にしていれば、快復するという。

小兵衛が眠っていると、家の裏手に人の気配がする。怪しんで小兵衛が覗くと、侍が二人小屋の戸を壊そうとしている。中に人がいるらしいのだ。小兵衛が小奴らを追い出し、中にいる者を確かめると、それはかつての門人・井関助太郎だった。井関助太郎は子供と一緒にいた。

井関助太郎は傷を受けていた。小川宗哲の見立ててはすぐに危なくなることはないものの、だいぶに弱っているというものだった。

そもそも、この井関助太郎はなぜこの様な目に遭っているのかを言わない。一緒にいる子供が何者であるかすら言わないのだ。井関助太郎はこのあたりは昔と変わっていないようである。

小兵衛は井関助太郎の父を知っていた。父・井関平左衛門は亡き師・辻平右衛門が宜しく頼むと言って紹介してくれた人物である。何かいわくのある人物のようであり、経歴その他は不明な人物であった。その息・助太郎が小兵衛に助けを求めてきたのである。

井関助太郎が抱え込んでいる秘密とは一体何なのか?そして、助太郎と一緒にいる子供は一体何者なのか?

本書について

池波正太郎
剣客商売 二十番斬り
新潮文庫 約二五〇頁
短編集+長編
江戸時代 田沼時代

目次

おたま
二十番斬り
 目眩の日
 皆川石見守屋敷
 誘拐
 その前夜
 流星
 卯の花腐し

登場人物

おたま
 おたま…白い牝猫
 夏目八十郎

二十番斬り
 井関助太郎
 豊松
 (井関平左衛門)
 皆川石見守…旗本
 服部宗全…医師
 長吉…船頭
 浅井源十郎…浪人
 山城屋文吾