池波正太郎の「剣客商売 第8巻 狂乱」を読んだ感想とあらすじ

覚書/感想/コメント


★★★★★★★★☆☆

シリーズ第八弾。

仕掛人・藤枝梅安」でお馴染みの”芝の治助”の名前が登場する。もっとも、この本作で登場する芝の治助は、「仕掛人・藤枝梅安」でいうところの先代の芝の治助のようである。

また、「鬼平犯科帳」「仕掛人・藤枝梅安」でお馴染みの店「鮒宗」の名も登場する。

三大人気シリーズでそれぞれ関連する人物や店が登場するのも魅力の一つだと思う。興味のある方は、それぞれのシリーズの店や人物の相関図を作ってみるのも面白いかもしれない。

三大人気シリーズに登場する人物や店が他の短編や長編にも登場するので、さらに深く追求したい方にはお薦めである。

内容/あらすじ/ネタバレ

毒婦

秋山小兵衛が「元長」にいる時のこと。大工の由太郎が女房のおきよをどこに隠したと長次を責める。小兵衛が仲裁に入り、由太郎は小兵衛のいうことを聞く。

その後、小兵衛が出歩いていると、長次が小兵衛の後をつけていた。不審に思って小兵衛が長次を問いただすと、大工の由太郎の女房・おきよはとんでもない女だという。

狐雨

仰向けに倒れている杉本又太郎に、白刃を突き入れようとしているところを秋山大治郎が助けた。狙われる理由は分かっているようである。

松平修理之助の屋敷から養女の小枝を引っ攫ってきたからだ。しかし、この杉本又太郎は剣術の方はたいしたことがない。今度襲われたら逃げると言い切る。しかし、この杉本又太郎が別人のように剣が強くなった。一体どうしたのか?

狂乱

牛堀九万之助の道場を訪ねた時のこと…。九万之助の門弟を叩きのめしている男がいた。名を石山甚市という。もとは藤堂家の足軽だったが、今は大身旗本の家人になっている。

この石山甚市、両方の家で疎まれてきたらしい。それもこれも、身分の低い石山甚市が強すぎたのだ。これが故に、石山甚市の心は鬱屈していた。

仁三郎の顔

傘屋の徳次郎が熱を出して寝込んでいる所に、岩戸の繁蔵が知らせたのは、黒羽の仁三郎が江戸に戻ってきているというものだった。このことを佐平に知らせなければと徳次郎は病んでいる体に鞭を打って知らせに行く。黒羽の仁三郎は佐平を狙うと考えたからだ。

一方、秋山大治郎はこの黒羽の仁三郎を助けたことがあるという奇妙な縁もあり…。

女と男

女を囲んで悪さをしようとしているところを小兵衛が助けた。その女を再び見た時には、女は浪人となにやら話し込んでいた。

その浪人とは昔、秋山小兵衛のところで修行をしたことのあった高瀬照太郎だった。高瀬はこの女のために身を持ち崩したらしい。そして、今高瀬は女に捨てられたのだ。

秋の炬燵

杉原秀が助けたのは幼い男の子だった。男の子を襲った男は秀の強烈な襲撃に這々の体で逃げた。この男は飯富の亀吉といい、香具師の元締・白金の徳蔵から殺しを引き受けた男なのである。しかし一体何故男の子を殺さなければならないのか?

本書について

池波正太郎
剣客商売 狂乱
新潮文庫 約三一〇頁
短編集
江戸時代 田沼時代

目次

毒婦
狐雨
狂乱
仁三郎の顔
女と男
秋の炬燵

登場人物

毒婦
 由次郎…大工
 おきよ…由次郎の女房
 大野作兵衛…浪人
 柏屋駒太郎

狐雨
 杉本又太郎
 小枝

狂乱
 石山甚市
 豊田孫左衛門

仁三郎の顔
 黒羽の仁三郎
 佐平

女と男
 高瀬照太郎
 お絹

秋の炬燵
 杉原秀
 ぶんたろう…子供
 飯富の亀吉
 白金の徳蔵…香具師の元締
 赤沼の儀平
 芝の治助
 大野庄作