池波正太郎の「剣客商売 第3巻 陽炎の男」を読んだ感想とあらすじ

覚書/感想/コメント


★★★★★★★★☆☆

シリーズ第三弾。

秋山大治郎の仕草/仕様がだんだんと、父・小兵衛のそれに似てくるのが本作。また、本作では小兵衛の顔の広さに負けず劣らず、大治郎の顔も広いことが分かる。やはり、諸国を巡る修行をしたためであろう。

そして、佐々木三冬の恋の対象が変化してくるのも本作である。三冬の恋の行方が今後どうなるのかも楽しみである。

内容/あらすじ/ネタバレ

東海道・見附宿

秋山大治郎の元に届いた手紙は、浅田忠藏のものからであった。しかし、本人の筆跡ではない。浅田に何があったのか。大治郎は大急ぎで東海道は見附宿に下った。そこで、手紙を託した主・おせきと対面する。すると、浅田忠藏が押し込められていると言うことを聞く。

赤い富士

秋山小兵衛は不二楼の亭主・与兵衛が見せてくれた赤い富士の掛け軸がいたく気に入った。しかし、何度掛け合っても与兵衛は譲ってくれない。小兵衛はなくなく掛け軸をあきらめることにした。

その不二楼の亭主・与兵衛の元に来た男の話を聞いて、与兵衛の顔は真っ青になる。この男が与兵衛に告げたこととは?

陽炎の男

佐々木三冬が根岸の寮で久方ぶりの風呂に浸かっていた時。そとに見知らぬ輩がおり、三冬に襲いかかってきた。しかし、相手は三冬を手練れの者とは知らず、驚いたらしい。

しかし、一体何者が三冬を襲ったのか?この根岸の寮のもともとの持ち主は医者であった。その医者に関係するのか?それとも三冬を田沼老中の関係者と知る、田沼老中に敵対する人物なのか?

嘘の皮

秋山小兵衛が救った若い侍は松村伊織であった。この伊織は香具師の元締・鎌屋辰蔵の娘・お照に手を出してしまい、小兵衛に助けられるまで子分に散々いたぶられていたのだ。

村松伊織は小兵衛に助けられたことで、事なきを得たように考えていたが、小兵衛は事態がそう簡単には収まらないことを知っていた。

兎と熊

町医者・小川宗哲の愛弟子・村岡道歩の娘が攫われた。そして、娘を返すかわりに毒薬を調合しろと迫ってきた。村岡道歩はどうしてよいか分からず、小川宗哲に相談をしたが、小川宗哲もまたどうしてよいか分からず秋山小兵衛に相談したのだった。

しかし、一体何者が何のために毒薬を必要としているのか?

婚礼の夜

秋山大治郎を訪ねてきた浅岡鉄之助が何者かに狙われているらしい。たまたまそのことを傘徳こと徳次郎が聞いて分かったのだった。

しかし、今回のことは大治郎の友人のことであるからと、解決は大治郎に委ねてしまう小兵衛。さて、大治郎はどのように解決をするのか?

深川十万坪

近所では評判の怪力婆さんおせき。そのおせきが侍を軽くあしらっている様を小兵衛は見ていた。屈辱を受けた侍どもがおせきを襲ってくるかもしれないと小兵衛は考えた。しかし、おせきに軽くあしらわれた侍はどこかの藩の人間のようである。一体どこの藩の者か?

本書について

池波正太郎
剣客商売 陽炎の男
新潮文庫 約三〇〇頁
短編集
江戸時代 田沼時代

目次

東海道・見附宿
赤い富士
陽炎の男
嘘の皮
兎と熊
婚礼の夜
深川十万坪

登場人物

東海道・見附宿
 浅田忠藏
 おさき

赤い富士
 与兵衛…不二楼亭主
 大井半十郎
 三河屋八右衛門

陽炎の男
 井村松軒

嘘の皮
 村松伊織
 鎌屋辰蔵…香具師の元締
 お照…辰蔵の娘
 滝野の利助

兎と熊
 村岡道歩…医者
 房野…娘
 内田久太郎

婚礼の夜
 浅岡鉄之助
 平山市蔵

深川十万坪
 おせき