池波正太郎の「剣客商売 第2巻 辻斬り」を読んだ感想とあらすじ

覚書/感想/コメント


★★★★★★★★☆☆

シリーズ第二弾。

老境にさしかかり、暇をもてあましている小兵衛は何かと首をつっこんでみたくなる。そのこと自体に苦笑する思いなのだが、どうにもならない。また、おはるとの夫婦生活も順調にきており、息・大治郎の剣客としての仕事も少しずつであるが、入り始めている。

前作の延長にある作品。剣客としての道を歩み始めている大治郎に、剣客は対戦した相手の怨みをいつも待ち受けていなければならない、そうした剣客としての宿命が待ち受けているのが本作である。

内容/あらすじ/ネタバレ

鬼熊酒屋

「鬼熊」の亭主・熊五郎の姿を小兵衛は意外なところで見た。そして、その様子には弱々しいところがあり、ただならぬものがあった。

熊五郎は、「鬼熊」では客を客とも思わずあしらい、土地の無頼漢も恐れている亭主である。小兵衛は、そのただならぬ様子をそっと隠れて見守っていた。

辻斬り

夜道を歩いていた秋山小兵衛を突然に襲ってきた者がいる。小兵衛は難なくその襲撃をかわしたが、逆に襲った者の方が慌てたようである。辻斬りの相手として秋山小兵衛を選んでしまったのが間違っていた。

その後、小兵衛が調べたところでは、小兵衛を襲った曲者が入っていった屋敷は、御目付衆の永井十太夫の屋敷だった。

老虎

秋山大治郎が懐かしい人の顔を見かけたのは大川橋の橋を渡っている時であった。その人物は山本孫介といい、大治郎が諸国を歩いている時に、稽古を付けてもらった人物であった。

その山本孫介は、息・源太郎が戻ってこないのを心配して江戸に出てきたというのである。一体、源太郎の身に何があったというのか?

悪い虫

秋山大治郎になけなしの五両を大治郎に納め、十日ほどで剣を教えて欲しいと頼み込んだのは、鰻の辻売りをしている又六という男である。

その又六の熱意にほだされて、大治郎は又六に剣を教えることにした。又六は何故ここまで思い詰めたようにして剣を教えてくれといのだろう。

三冬の乳房

佐々木三冬が久方ぶりに伯父の和泉弥吉右衛門を訪ね、根岸の寮に行った時のことである。三冬は人の悲鳴を聞いた。すると、見るからに怪しい者どもが駕籠を運んでいこうとする。

三冬はこれらの者を撃退すると、果たして、駕籠には女が猿轡をかまされ、目かくしをして押し込められていた。この女は山崎屋卯兵衛の娘・お雪であった。

しかし、この拐かしの裏を調べてみると意外なことが分かり始めてきた。

妖怪・小雨坊

小兵衛と大治郎のところに、妖怪・小雨坊の様な男が出没している。不気味ながらも、これを無視していると、嶋岡礼蔵を卑怯な方法で襲った伊藤三弥が江戸に戻ってきているらしいとの情報がもたらされた。

伊藤三弥は秋山親子を狙っているのだろうか。それにしても、この小雨坊は一体何者?

不二楼・蘭の間

家を焼かれた小兵衛が不二楼に身を寄せている時のこと。人が来る気配があったので、小兵衛は隠れた。そしてそこで聞いたのは、橫川鉄五郎という金貸しの御家人を襲うという話であった。

小兵衛はこの橫川鉄五郎から金を借りたことがあり、借金の返済に苦労した思いがある。知らぬ人間ではないが、さて、どうする小兵衛。

本書について

池波正太郎
剣客商売 辻斬り
新潮文庫 約二八〇頁
短編集
江戸時代 田沼時代

目次

鬼熊酒屋
辻斬り
老虎
悪い虫
三冬の乳房
妖怪・小雨坊
不二楼・蘭の間

登場人物

鬼熊酒屋
 熊五郎…「鬼熊」亭主
 おしん…娘
 文吉…婿

辻斬り
 永井十太夫…旗本
 内山弥五郎…家来
 市口孫七郎

老虎
 山本孫介
 山本源太郎
 森川平九郎善武
 佐倉勝蔵

悪い虫
 又六…鰻の辻売り
 大首の仁助

三冬の乳房
 山崎屋卯兵衛
 お雪…娘

妖怪・小雨坊
 伊藤彦太夫
 伊藤三弥…息子

不二楼・蘭の間
 橫川鉄五郎…御家人
 小金吾…養子