藤沢周平の「白き瓶-小説-長塚節」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★☆☆☆☆☆

第二十回吉川英治文学賞受賞。

読むのに骨の折れる小説である。その理由は幾つかあると思う。一つは、歌人の世界を描いていること。

歌に興味がなければ、小説中に散りばめられた歌を鑑賞する気にすらならなくなる。

また、藤沢周平の長塚節への思い入れの強さである。膨大な資料を読み解いたのが分かり、精緻に練られた文章になっているのである。

私個人は、長塚節や歌に何の興味もないため、読むのに苦労した。逆に、明治期の歌を取り巻く環境等に興味のある人にとっては、とても面白く読めるはずである。興味のある人にとっては、とても面白いのではないかと思う。

歌に対する個人的な興味はないものの、この小説に関しては再読すれば新たな発見がありそうな予感がしている。読むのに苦労はするが、再読する価値のある小説のような気がする。

内容/あらすじ/ネタバレ

正岡子規の弟子である長塚節。正岡子規を中心とする根岸派の中で、長塚節は伊藤左千夫と並んで最も注目されている。

しかし、その根岸派も正岡子規が亡くなると、迷走を始める。まず、歌と俳句のそれぞれに分かれる。

そして、歌の方は伊藤左千夫を中心としてまとまるかに見えた。

伊藤左千夫は正岡子規の歌を継承するのは自分と長塚節の二人だと思っていた。自負があるからこそ中心となって活動を始めていた。しかし、伊藤左千夫のやり方は周囲の人間との軋轢を生んだ。

地方に住む長塚節はその様子を手紙などで知るのだが、やがて自分も巻き込まれていくことになる。伊藤左千夫との関係がこじれた人間は、森田義郎をはじめとして、三井甲之、愛弟子の斎藤茂吉と変遷する。

長塚節は伊藤左千夫のもたらす、こじれた人間関係に悩みながらも歌の創作を行っていた。

しかし、長塚節の取る手法が伊藤左千夫の主張する方法を目指す方向が違うことに気が付くと、伊藤左千夫は痛烈な批判を浴びせる。それでも、長塚節は自説を曲げることはなかった。

長塚節は、歌の創作とは別に、小説も書いていた。その書いたものが、夏目漱石の目にとまり、新聞小説の掲載にいたる。「土」と題された小説である。

そんな長塚節に喉頭結核の診断が下された。当時はまだ不治の病だった。

本書について

藤沢周平
白き瓶
小説 長塚節
文春文庫 約四八〇頁
明治時代

目次

根岸庵
初秋の歌
亀裂
暗い耀き
婚約
女人幻影
ほろびの光
歌人の死

登場人物

長塚節
長塚源次郎…節の父
たか…節の母
嘉七…農夫
寺田憲

正岡子規
伊藤左千夫
森田義郎
三井甲之
斎藤茂吉
島木赤彦

夏目漱石

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