藤沢周平の「用心棒日月抄 第2 孤剣」を読んだ感想とあらすじ

覚書/感想/コメント

★★★★★★★★☆☆

人気シリーズの第二弾。

何の因果でか、青江又八郎は再び浪人となってしまう。状況が前作とは異なるのは、公儀隠密に秘密の書類を取られないようにするという密命を帯びていることである。前作ではやむを得ない事情により脱藩した青江又八郎だが、今回は強制的に脱藩させられている。

また、前作の最後で青江又八郎を襲った二人の刺客の内、片方の佐知が青江又八郎の味方として活躍し、もう片方の大富静馬が今回の青江又八郎が追う相手として登場する。

前作から期間的に三ヶ月も経っていない設定であり、前作からの勢いそのままに青江又八郎の活躍が楽しめる。

  1. 用心棒日月抄
  2. 孤剣 用心棒日月抄
  3. 刺客 用心棒日月抄
  4. 凶刃 用心棒日月抄

内容/あらすじ/ネタバレ

剣鬼

帰国して三ヶ月も経っていない青江又八郎を閒宮中老が呼び出した。大富静馬が前家老の大富丹後の手紙、日記、連判状をもって行方をくらました。

その大富静馬を公儀隠密が狙っているらしい。大富静馬の持つものが公儀の手に渡れば藩の存亡に関わる。青江又八郎は脱藩というかたちで国元を離れ、大富静馬を探すことになった。

再び浪人となった青江又八郎は、江戸に赴いた。江戸ではかつて青江又八郎を狙った佐知と出会う。この佐知の助けをかりて大富静馬の行方を探すことになったが、なにせ手許不如意。青江又八郎は、再び相模屋の戸を叩いた。
 

恫し文

大富静馬の行方はわからない。

青江又八郎は米坂八内という浪人と組んで用心棒をすることになった。越前屋という商人のところである。この越前屋に投げ文で盗みにはいると寄越してきていた。不自然な印象を受ける又八郎。果たして、この投げ文には裏があった。
 

誘拐

青江又八郎が用心棒として雇われたのはゆみという十三才の女子だった。このゆみの両親が夜盗に殺され、その後も家の回りを怪しい男がうろついていたので、警固人を求めていたのだ。

ゆみの警固をしている間に、佐知に危難が及んだ。佐知が大富静馬に捕らわれたらしい。
 

凶盗

安積屋という油屋が恐れているのは、夜盗であった。夜盗は凶悪であり、青江又八郎に加え、細谷源太夫、米坂八内も加わっての用心棒となった。

青江又八郎が安積屋の用心棒をしている最中に佐知は大富静馬の在処を突き止めたらしい。これで、一気に片を付けてやると思う青江又八郎であった。
 

奇妙な罠

相模屋が用意してくれた用心棒の仕事は楽なものであった。別宅の番人をしてくれというものだった。この別宅では隠居がたまに運座を開くことがある以外は特に何もない家である。楽な仕事だと思っていたが、ある日青江又八郎はこの別宅で何者かに襲われ、拷問を受ける。
 

凩の用心棒

大富静馬の情婦の家を佐知が突き止めた。そこで待ち受けていれば大富静馬が現れるかもしれない。そして、二人して待っていたが、大富静馬を取り逃がしてしまう。

その頃、米坂八内が家に帰ってこないと米坂八内の妻から連絡があった。相模屋に聞くと用心棒の仕事をしているはずだと言った。米坂八内の身に何が?
 

債鬼

青江又八郎は風邪を引いた。折しも、江戸では大地震があり、大火事があった。

病み上がりの又八郎に相模屋が用意してくれたのは、銭屋徳兵衛という金貸しの用心棒であった。又八郎は銭屋徳兵衛を護りつつも、この雇い主のことが好きになれなかった。
 

春のわかれ

米坂八内の藩への帰参がかなった。細谷源太夫とともに米坂八内を見送る青江又八郎。又八郎は大富静馬との決着を付ける気持ちが高まった。最後の対決はどうなるのか?

本書について

藤沢周平
孤剣
用心棒日月抄
新潮文庫 約三八五頁
連作短編 江戸時代
 

目次

剣鬼
恫し文
誘拐
凶盗
奇妙な罠
凩の用心棒
債鬼
春のわかれ

登場人物

青江又八郎
細谷源太夫…作州浪人
米坂八内…丹波園部藩浪人
吉蔵…相模屋
 
佐知…嗅足組
 
由亀…又八郎の妻
 
閒宮中老
土屋清之進
 
大富静馬
寿庵保方…前藩主の異母兄
田代…江戸家老
 
【各短編の登場人物】
剣鬼
 村瀬主計…旗本
 弥津…妻
 深沢清次郎
 
恫し文
 越前屋藤兵衛
 およね
 清助
 やぞう
 
誘拐
 ゆみ
 権三…岡っ引
 
凶盗
 安積屋平右衛門
 
奇妙な罠
 小牧屋
 
凩の用心棒
 若狭屋
 
債鬼
 銭屋徳兵衛
 井手弥十郎
 
春のわかれ
 瀨尾弥次兵衛