池波正太郎の「鬼平犯科帳 第19巻」を読んだ感想とあらすじ

作家あ行
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覚書/感想/コメント

★★★★★★★☆☆☆

「逃げた妻」と「雪の果て」は藤田彦七という浪人とその元妻りつが主人公となっている。りつが男と一緒に藤田彦七の元から去ったのが事の始まりである。

しかし、この藤田彦七はりつから助けを求められると、今いる妻を捨て、りつの元に駆けつけてしまう。藤田彦七が未練がましい男なのか、それともりつが男を狂わせるような女なのか…。

木村忠吾がこの事に関し、感想を漏らす場面があるが、忠吾の感じた事もあるいは真実なのかもしれない。

外から見ると、関係をすぱっと断ち切れば何のことはない事柄も、当事者になり、さらに男と女の事になると余人には図ることの出来ない様々なことがあるものだ。池波正太郎は様々な作品でこの事を言っている。この短編もそうである。

この二つの短編は救いがたい結末になっている。あるいはこういう結末を用意したところに、池波正太郎の考えがあるのかもしれない。

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内容/あらすじ/ネタバレ

霧の朝

火盗改方に何かと協力を惜しまない御用聞き・富蔵とおろくの夫婦の息子・幸太郎が拐かされた。

長谷川平蔵宣以は日頃の協力に報いるため、幸太郎の捜索にうってでる。幸太郎は富蔵夫婦の実の子ではない。貰い子なのだ。

だからおろくは実の親が拐かしたと思っていた。その頃、幸太郎の実の親は以前井関録之助が住処としていたあばら屋にいた。

妙義の團右衛門

妙義の團右衛門に馬蕗の利平治があった。江戸での盗みをするらしい。しかも大胆なことに平蔵の鼻をあかすために役宅に人を入れるという念の入れよう。この事を馬蕗の利平治から聞いた平蔵は、これを逆手にとろうと考える。

引き続き妙義の團右衛門と連絡をすることになった馬蕗の利平治だが、実はすでに利平治が密偵であることがばれていた。

盗賊と火盗改方の化かし合い、一体どちらに軍配が挙がるのか?

おかね新五郎

平蔵も知っているおかねが男を刺そうと狙っているらしい。その男はかつておかねが目をさした弥助である。立場が逆のように感ぜられるが、話しを聞くと、おかねの子供が弥助に殺されたというのだ。つまり、目を潰された仕返しに弥助はおかねの子供を殺したのだ。

逃げた妻

木村忠吾が飲みに行く〔治郎八〕は淸洲の甚五郎の江戸における盗人宿である。この治郎八に藤田彦七という浪人が飲みに来る。忠吾も親しい飲み仲間である。この藤田彦七が忠吾に相談したのは、逃げた妻のことである。

この妻が助けをもとめているというのだ。しかし、藤田彦七はつい最近後添えを貰ったばかりで、どうすればよいのか悩んでいるのである。

雪の果て

木村忠吾が相談に乗っていた藤田彦七が元妻のりつと逃げたのを聞いて、忠吾は驚いた。しかし、この藤田彦七が戻ってきた。だが以前の快活さはなくなっている。一体どうしたというのか?

引き込み女

磯部の万吉を見たという報告があった。万吉を捜す密偵たちだが、おまさはその中でお元に出会う。なにやら思い詰めている感じのお元。平蔵に相談してお元と接触することにした。

案の定、お元は引き込みである店に入っていたのだが、この店の主に一緒に逃げないかと言われているらしい。お元は盗賊の掟には背けないし、店の主を憎からず思っているし、この両者に板挟みにあっているのだ。

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本書について

池波正太郎
鬼平犯科帳19
文春文庫 約三一〇頁
連作短編
江戸時代

目次

霧の朝
妙義の團右衛門
おかね新五郎
逃げた妻
雪の果て
引き込み女

登場人物

霧の朝
 富蔵…御用聞き
 おろく…富蔵の妻
 幸太郎…息子
 吉造…瓦焼き職人
 おきね…吉造の妻
 井関録之助

妙義の團右衛門
 妙義の團右衛門…盗賊
 竹造
 お八重
 馬蕗の利平治

おかね新五郎
 原口新五郎
 おかね
 弥助

逃げた妻
 藤田彦七…浪人
 りつ
 入間の又吉…盗賊
 宗六…鮒宗の主

雪の果て
 藤田彦七…浪人
 りつ
 渡辺八郎…盗賊

引き込み女
 磯部の万吉…盗賊
 お元…盗賊
 駒止の喜太郎…盗賊

池波正太郎の火付盗賊改もの

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