池波正太郎の「鬼平犯科帳 第4巻」を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

覚書/感想/コメント

★★★★★★★★★☆

本作でまた重要な密偵が登場した。おまさと大滝の五郎蔵の二人である。これで、鬼平犯科帳の前半の重要な配役がだいぶ出そろった。

おまさと長谷川平蔵宣以の関係は、本作でも軽く触れられているが、今後もさらに多く語られることになる。

一方、大滝の五郎蔵に関しては、意外にあっさりと密偵になってしまう。小房の粂八が密偵になるまで、結構な話数をこなしているのに比べて、あっさりとしすぎている。ここいらで、盗賊としてはそこそこの大物を密偵にするために講じた手段だと思われる。

内容/あらすじ/ネタバレ

霧の七郎

霧の七郎は平蔵に捕えられて死刑にされた兄・小川や梅吉の怨みをはらすために、不慣れな江戸に滞在して機会を窺っていた。そして、うってつけの剣客を見つけた。

霧の七郎は剣客に百両で、殺しを依頼した。狙ったのは、平蔵の長男・辰蔵である。しかし、雇った剣客は頓狂なところがあり、辰蔵の体調が悪いと見るや、切捨てることをやめてしまった。思わぬ成り行きに悔しがる霧の七郎。

五年目の客

粂八が江口の音吉という羽佐閒の文蔵の一味を見つけた。もしかしたら、一味が江戸で仕事をするつもりなのかも知れない。あとをつけたのは顔を見知られていない岸井左馬之助である。

左馬之助は江口の音吉が丹波屋に宿泊していることを突き止める。江口の音吉は引き込みの名人であるらしい。とすると、狙っているのは丹波屋なのか。

密通

妻久栄の伯父・天野彦八郎から頼まれごとをされた。天野家の小者・遠藤小助が金を盗んで逃げたので、内密に探し出して欲しいという。本来なら、この手の話しは火付盗賊改方が取り扱うものではない。久栄はこの伯父が大嫌いである。というのも威張り散らす鼻持ちならない伯父だからである。しかし、親類の頼み故に平蔵は一応の伺いを聞いてみる。

やがて判明したのは、逃げたのは遠藤小助のみではなく、用人・中野又左衛門の妻女・お米も一緒に逃げたらしい。平蔵はそこに天野彦八郎が頼み込んだ訳があると考えた。

血闘

女密偵のおまさが捕まって廃屋に押し込められている。応援を頼んでいるのだが、いつまで経ってもやってこない。おまさは死なせたくないと切に思いながら、平蔵はじりじりする。

おまさのことは、おまさが幼い頃から知っている平蔵である。おまさの父・鶴の忠助にも世話になったこともあるのだ。

果たして、おまさを救い出すことが出来るのか。

あばたの新助

佐々木新助がお才という女と浮気をしたが、このお才ただの女ではなかった。この頃、火付盗賊改方の巡回を知っているかのように、犯行を繰り返す盗賊が出没している。まさか、内通者がいるのか?

おみね徳次郎

徳次郎は網切の甚五郎の手下である。この徳次郎は女房のおみねをどう始末つけるかと思案している。徳次郎は仕事のために江戸を離れる必要があるのだ。

一方、おみねはひょんなことから徳次郎が網切の甚五郎の手下であることを知った。しかしこのおみねも法楽寺の直右衛門の手下なのである。二人は同業者だったのである。

大滝の五郎蔵を敵として狙う若者がいた。五郎蔵は返り討ちにするが、この敵と思われること自体が五郎蔵には不思議であった。考える内に、小妻の伝八のことが頭に浮かんできた五郎蔵であるが…

夜鷹殺し

夜鷹が相次いで殺される事件が起こった。町奉行所は動かない。夜鷹も人であろうと義憤する平蔵は、彦十とおまさと三人で事件解決に挑む。

本書について

池波正太郎
鬼平犯科帳4
文春文庫 約三百十頁
連作短編
江戸時代

目次

霧の七郎
五年目の客
密通
血闘
あばたの新助
おみね徳治郎

夜鷹殺し

登場人物

霧の七郎
 霧の七郎
 上杉周太郎
五年目の客
 江口の音吉…盗賊
 羽佐閒の文蔵…盗賊
 お吉
密通
 天野彦八郎…久栄の伯父
 中野又左衛門…用人
 お米…中野又左衛門の妻
 遠藤小助
血闘
 おまさ…密偵
あばたの新助
 佐々木新助…同心
 お才
 網切の甚五郎…盗賊
おみね徳次郎
 おみね
 徳次郎
 網切の甚五郎…盗賊
 法楽寺の直右衛門…盗賊
 おまさ

 岸井左馬之助
 大滝の五郎蔵…盗賊
 小妻の伝八…盗賊
 舟形の宗平
夜鷹殺し
 相模の彦十
 おまさ