藤沢周平の「愛憎の檻 獄医立花登手控え 第3巻」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★★☆☆

獄医立花登手控え第3弾(全4巻)

おちえとの関係がだんだんと親密になっていくのが、この巻である。

それはそうとして、前作まで頻繁に登場した新谷弥助が、今作では登場しないのが寂しい。登と二人で組んでの捕物が見られると、面白いのだが。

逆に久々の登場人物もいる。しおらしくなる前の、おちえの悪友だったおあきである。このおあきとおちえの歩む人生が、本作でくっきりと明暗が分かれてしまうのが印象的である。

  1. 春秋の檻-獄医立花登手控え-
  2. 風雪の檻-獄医立花登手控え-
  3. 愛憎の檻-獄医立花登手控え-
  4. 人間の檻-獄医立花登手控え-
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内容/あらすじ/ネタバレ

秋風の女

女牢に新しく入ってきた、おきぬという女に牢の下男佐吉が手名付けられているらしい。佐吉はおきぬと夫婦約束を交しているという。

呆れてしまう登だが、そうも言っていられない。牢の下男の万平もきつく佐吉を諭して、一段落したかのように見えた。

しかし、ある日佐吉はおきぬの言いつけで、外出した。心配な登は佐吉の後を追うが、果たして佐吉は変な男に襲われ…
 

白い骨

辰平という五十前後の囚人の身体はかなり弱っている。身内がいるのなら、引き取ってもらうのが良いと登は考えている。

すると、辰平には女房・子供がいると言うではないか。非番の日に登は辰平の女房のもとに赴くと、女房は辰平に帰ってきてもらいたい旨を登に告げる。

そのことを辰平に話すと、照れくさそうにし、帰れるかとうそぶくが、女房に諭され、辰平は女房のもとに戻る。

しかし、その辰平が死んだ。何故なのか。辰平が牢を出る前に、何かの伝言を頼まれたことらしいことが分かった。その伝言の内容と、告げるべき相手の手による物なのか?
 

みな殺し

芳平という囚人が死んだ。恐らく牢内で殺されたのだろうが、面倒を避けるため、囚人達も同心も病死とのみたてを望んでいた。登もそのことを知っており、病死と判断した。

しかし、ある日岡っ引の藤吉が登を訪ねてきて、芳平の死因は本当に病死なのかと聞く。岡っ引の藤吉が話すには、去年の冬から本所から深川にかけて、屈強な男達が次々と変死しているというのだ。

互いの接点は分からないものの、藤吉の勘ではなにか怪しいものを感じているらしかった。怪しいのは、芳平が死んでから牢を出た四人。
芳平の死にはどのような秘密が隠されているのか?
 

片割れ

叔父のいない間に人相の悪い男が、怪我のため訪れる。登が代わりに診ることになり、おちえが登の手伝いをするが、男の傷は刃物に斬られたものである。

男の治療が終わり、日が経つにしたがって、登はそのことを忘れるが、囚人の簑吉という男の治療をしたときにその男を思い出した。

簑吉は二人組で押し込みを働いたのだが、その時に刃物で傷を負ったのだった。片割れも同様に斬られた様子があり、そのことで登は人相の悪い男の事を思い出す。

登は、その時一緒に男を見たおちえの身に危険が降りかかるかも知れないと心配になる。
 

奈落のおあき

小伝馬町の牢獄の石垣下の道で登はおあきと出会う。久々のおあきとの対面だが、おあきのいい人が牢に入っているので、そのお見舞いに来たのだという。そのいい人は伊勢蔵というらしい。

伊勢蔵は日雇いということになっているが、日雇いなら日に焼けているはずの所を、伊勢蔵は真っ白な男だった。登はそのことに不審を感じ、この伊勢蔵は一体何者なのかと思う。

嘉吉という囚人の娘が高熱でうなされているのを知り、娘の治療をしてあげた登に、嘉吉はあることを密告しようとする。しかし、この嘉吉が殺されてしまう。
 

影法師

おちせは囲われ者だった母の旦那、加賀屋伝助を刺したかどで牢に入れられていた。ある日母を訪ねたおちせは母が首を吊っているのを見、そこに居た加賀屋が母を殺して吊下げたのだと思っている。

おちせは、加賀屋の歎願もあり、短い期間で牢から出られることになった。その出た矢先、駕籠に押し込められそうになる。登が止めて、危うく一難を逃れたが、その駕籠は加賀屋から送られたものであった。やはり、加賀屋がおちせの母親を殺したのか?

登はなじみの岡っ引・藤吉の助けを借りて、調べ始める。

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本書について

藤沢周平
愛憎の檻
獄医立花登手控え
講談社文庫 約二八〇頁
連作短編集
江戸時代
 

目次

秋風の女
白い骨
みな殺し
片割れ
奈落のおあき
影法師

登場人物

立花登…医者
小牧玄庵…叔父、医者
松江…叔母
おちえ…従妹
おきよ…小牧家の女中
新谷弥助…登の柔術仲間
鴨居左仲…登の通う道場の師匠
園井…鴨居左仲の孫娘
奥野研次郎…登の通う道場師範代
おあき…おちえの友達
吉川恒朴…医者、叔父の酒飲み友達
曾村杏斎…医者、叔父の酒飲み友達
矢作幸伯…獄医
土橋桂順…獄医、矢作幸伯の後任
藤吉…岡っ引
直蔵…藤吉の手下
千助…藤吉の手下
百助…岡っ引
平塚…牢屋同心
水野…牢屋同心、平塚の碁敵
万平…牢の下男
平助…鋳かけ屋、盗みで度々牢に入る
おしん…平助の娘
仁兵衛…大牢牢名主
おたつ…女牢の牢名主
およね…女牢の牢名主、おたつの後釜

秋風の女
 おきぬ
 佐七…牢下男
 喜三郎
 
白い骨
 辰平
 おむら…辰兵の女房
 
みな殺し
 芳平
 むささびの七
 市次郎
 
片割れ
 簑吉
 長助
 
奈落のおあき
 おあき…おちえの悪友
 伊勢蔵
 嘉吉
 
影法師
 おちせ
 加賀屋伝助
 杉蔵…檜物師

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