池波正太郎の「真田太平記(1~6巻)」(全12巻)を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

作家あ行
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覚書/感想/コメント

★★★★★★★★★☆

池波正太郎直木三十五賞受賞作『錯乱』が真田信之を主人公にしたものであるのを筆頭に、真田家を舞台にした作品は数多い。その「真田もの」の集大成がこの真田太平記であろう。

『真田もの』というと、真田幸村・大助父子の活躍と講談本『立川文庫』から生まれた真田十勇士(猿飛佐助、霧隠才蔵、海野六郎、穴山小助、由利鎌之助、根津甚八、望月六郎、筧十蔵、三好晴海入道、三好伊三入道)らが有名である。

池波正太郎の真田太平記では真田十勇士は登場せず(真田十勇士を彷彿させる忍びは登場するが)、真田昌幸から始まり、真田信之が松代に移るまでの真田家の隆盛を丹念に描き、まさに太平記に値する壮大な物語となっている。

さて、真田一族の中では真田昌幸・幸村の評価や人気が非常に高いが、池波正太郎の一連の真田ものを読むと、好んで取り上げているのが信之や信之を中心にした人間(鈴木右近忠重など)である。真田昌幸、幸村に対する愛着はもちろんあるのだろうが、それにも増して池波正太郎にとって魅力的なのが信之なのだろうと思われる。

それは、幾度となく作品中にでてくる幸村の言葉『…真田家の跡取りが兄上(信幸)であることだ。あのようなひとは、めったに、この世に生まれ出るものではない。はきと申すなら、父上(昌幸)など足許にも寄れぬお人だ』という言葉にも現れていると思う。

つまり、池波正太郎は人気のある幸村が自分より信之の方が格上であることを”幸村”の口を借りて述べさせている位、信之を評価している節がある。しかしながら、真田太平記では、真田父子を昌幸・信之・幸村それぞれの立場から描き、信之を中心とした物語の構成にはなっていない。池波正太郎が真田の物語を太平記として描こうとした魅力とはなにか?

続き:「真田太平記(7~12巻)

内容/あらすじ/ネタバレ

天魔の夏

話は武田家の滅亡から始まる。

織田家との戦さで瀕死の重傷を負った武田の長柄足軽の子、向井佐平次をともなって、お江は苦心の末、ようやくに真田の領内に逃げ延びることに成功した。

怪我をしていた佐平次は治療に専念するため温泉地で日々を過ごした。ある日、佐平次は真田信繁(後の幸村)と出会い、信繁の家臣となる。

やがて一年が過ぎ、武田が滅亡して織田信長の天下が見えた矢先、明智光秀の謀反により織田信長が急死してしまう。天下の情勢は混沌とし始め、真田昌幸は領土及び家の存続のためにいかように対処すべきか頭を悩ませる。

秘密

徳川家と北条家に挟まれ、北からは上杉家の圧力も受ける真田昌幸は上田の地に城を築くことに心血を注ぎ始める。
父昌幸が上田城築城に心血を注ぎ始めたころ、真田信繁(幸村)は向井佐平次に自身の出生の秘密を告白し、主従の絆をより一層深める。

一方、昌幸の甥の樋口角兵衛が出奔し、いよいよ真田一族の因縁と波乱に満ちた興亡史が幕開けとなる。

上田攻め

まだ完成していない上田城に、徳川軍が襲いかかる。圧倒的な兵力の差があったが、昌幸、信幸の知略の下、真田勢は徳川軍を退けることに成功し、結果、昌幸の実力が天下にとどろくことになる。

上田攻めに失敗した徳川家康は、豊臣秀吉との微妙な力関係から、真田家と縁戚関係を結ぶため、家臣の本多忠勝の娘を自分の養女とし、真田信幸に嫁がせることにする。

一方、北の上杉には次男信繁(幸村)を人質として差し出し、真田家の安泰を図るが、その矢先、秀吉から幸村を大阪へ人質として差し出すようにいわれ、昌幸は困惑する。昌幸が幸村を大阪へ人質として差し出した後、秀吉はいよいよ北条征伐のための謀を巡らせ始める。

甲賀問答

北条を攻め落とし、天下人となった秀吉は朝鮮への進出を企む。度重なる出兵に諸大名はうんざりとしているが、秀吉には逆らうことができない。多くの大名が朝鮮に出兵している中、真田一族は朝鮮へ出兵することなく、秀吉と共に肥前名護屋の地にいた。しかしそんな中、秀吉は相次ぐ身内の不幸に態度を変化させる。

その一方、秀吉の没後を睨んだ忍びの暗躍が始まろうとしていた。真田の草の者お江は、甲賀に忍び込み情報を得ようと目論んでいたが、甲賀の地で瀕死の重傷を負ってしまい甲賀の地から抜け出せなくなった。その様子を知りつつ、甲賀忍びの頭領山中大和守俊房は草の者の隠れ家を探し出すため、お江が回復するのを待って泳がせる。

秀頼誕生

秀吉に待望の子が誕生した。後の秀頼である。しかし、秀吉には死期が近づいていた。自分の亡き後の秀頼を、五大老をはじめとした有力大名に託し、秀吉は逝った。そして、五大老の一人、前田利家も病に冒され、勢力の均衡が崩れ始めていた。

朝鮮への出兵以来、豊臣家臣の文治派と武断派の対立は、睨みをきかせていた前田利家の病状の悪化と共にいよいよ激化する。それを利用して、徳川家康は自身の野心をかなえるため、本格的に行動し始める。
一方、お江に助けられた向井佐平次の息子向井佐助は草の者としての修行を終え、一人前の本格的な忍びの仕事を始めることとなる。

時代は、風雲急を告げ始めていた。

家康東下

五大老の一人上杉景勝が戦の用意をしているという情報が舞い込んできた。徳川家康は豊臣秀頼に楯突くものだという名目で、上杉征伐に乗り出すが、これには別の真の目的があった。石田三成の挙兵を誘い出すことである。家康の目的通り、三成は挙兵をした。家康は自身での上杉討伐を中止し、西へ舞い戻る準備を始めた。

三成挙兵の知らせを受けた昌幸は、長男信幸、次男幸村の三人で、進退を相談するが、それぞれの思いは既に決していた。これ以来、真田の一族兄弟が敵味方に分かれ、別々の道を歩み始める。

本書について

真田太平記
新潮文庫

目次

第1巻:天魔の夏
春の雪崩
脱出
岩櫃の城
草の者
真田の庄
天魔の夏

第2巻:秘密
上田築城
角兵衛出奔
襲う
秘密
戦雲
湯けむり

第3巻:上田攻め
上田攻め
華燭
闇の声
密書
落城
小田原攻め
行方も知れず

第4巻:甲賀問答
甲賀問答
隠し径
佐平次の子
地の底
肥前・名護屋
地下蔵
遁走
大政所の死

第5巻:秀頼誕生
秀頼誕生
伏見の城
追跡
慶長元年
落日
角兵衛と佐助
利家の死
風雲

第6巻:家康東下
地炉の間
慶長五年
乱雲
家康東下
犬伏の陣
闘志
進撃

登場人物

真田安房守昌幸
山手殿(典子:正室)
真田壱岐守信尹(実弟)
真田伊豆守(源三郎)信幸(後:信之、長男)
小松殿(稲姫:信幸の妻:本多忠勝の娘)
まん姫(信幸の長女)
真田河内守信吉(孫六郎)(信幸の長男)
真田内記(信幸の次男)
真田左衛門佐(源二郎)幸村(次男:信繁)
於利世(幸村の妻:大谷吉継の娘)
真田大助幸昌(幸村の長男)
於喜久(幸村の長女)
矢沢薩摩守頼綱(叔父)
矢沢但馬守頼康(頼綱の子)
樋口角兵衛(甥)
於国(村松どの)(長女)
小山田壱岐守茂誠(於国の夫)
お徳
お菊(昌幸とお徳の娘)
滝川三九郎一績(滝川一益の孫)
鈴木主水
鈴木右近(小太郎)忠重(主水の子)
池田長門守綱重
馬場彦四郎
小川治郎右衛門
向井佐平次(幸村の家来)
(草の者:伊那忍び)
もよ(佐平次の妻)
向井佐助(佐平次の子)
橫沢余七(もよの叔父)
壺屋又五郎
お江(馬杉市蔵の娘)
奥村弥五兵衛
小助
姉山甚八
鞍掛八郎
大滝伍平
五瀬の太郎次
佐久閒峰蔵
宮塚才蔵
おくに
中原丈助
豊臣秀吉
北政所(高台院:秀吉の正室)
豊臣秀頼
淀殿(秀吉の側室)
石田治部少輔三成
大谷刑部少輔吉継
加藤主計頭清正
飯田覚兵衛
鎌田兵四朗行種
片山梅春
浅野左京太夫幸長
永井百助(養順)
後藤又兵衛基次
渡辺勘兵衛
長宗我部盛親
徳川家康
徳川秀忠
本多平八郎忠勝
慈海和尚
上杉景勝
直江兼続
北条氏政
北条氏直
小野のお通
柳生但馬守宗巌(石舟斎)
柳生五郎右衛門宗章
(甲賀忍び)
山中大和守俊房
山中内匠長俊(俊房の又従兄弟)
伴長信
猫田与助
杉坂重五郎
柏木吉兵衛
心山和尚
住吉慶春(酒巻才蔵)
田子庄左衛門
下口半兵衛
お才
池ノ脇藤左
迫小四朗

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