心残りなことが、何らかの格好で叶えられるのだとしたら、それは悔いのない人生だったと言い切れるのではないでしょうか。
この映画は、まさに心残りなことが叶えられるという映画であり、魂の浄化の話でもあります。
心残りなことというのは、誰にでもあるでしょう。後悔と言ってもいいのかもしれませんが、少し違うような気もします。
ですから、この映画を観て、自分と照らし合わせて、涙を流す人が多いのだろうと思います。
W・P・キンセラの小説『シューレス・ジョー』を原作とした映画です。
題材は、たまたま野球や60年代や夢や希望、家族の絆といったものですが、別にそうしたものである必要はありません。野球の代わりにサッカーでも、それはそれでよかったのだろうと思います。
さて、テレンス・マンのモデルは小説『ライ麦畑でつかまえて』で知られるJ・D・サリンジャーです。
原作では実名で登場します。
主人公のレイ・キンセラを演じるのはケヴィン・コスナーです。
コメント
映画の名セリフ
映画の中でたびたび出るセリフです。
「ここは天国か?」「いや、アイオワだ」
前後の文脈や、映画の中での文脈もありますが、そうした文脈の中で考えると、実にいいセリフだと思います。
不思議なささやき
映画の不思議なささやきが、実は自分の声でした。シューレース・ジョーが最後にレイに告げます。そして、登場する若き日のレイの父。これによって、映画のすべてのつじつまがあっていきます。
「それを作れば、彼がくる」
「彼の苦痛を癒せ」
「やり遂げるのだ」
父と喧嘩別れをして、妻にも娘にもあわせることができませんでした。
野球場を作ることによって、父がやって来きます。それによって、レイ自身の後悔の念を癒します。心を癒すために、父との時間を過ごすのです。
あらすじ/ストーリー
それを作れば、彼がくる
レイ・キンセラは3歳で母をなくし、父に育てられた。レイの父親は野球選手だったものの、大成はしなかった。
父は偉大な野球選手のことを話してくれた。シューレス・ジョーだ。シューレス・ジョーは八百長事件でメジャーリーグから永久追放となったシカゴ・ホワイトソックスの名選手だった。
大学を卒業して、レイはアイオワにトウモロコシ農場を購入しで妻・アニーと娘・カリンの3人暮らしをしている。
父とはけんかをして家を飛び出してしまっており、次にあったのは父の葬儀のときだった。
レイがトウモロコシ畑で仕事をしていると、不思議なささやき声が聞こえてきた。
「それを作れば、彼がくる」
妻のアニーには聞こえないらしい。それに、意味が分からない。
そのささやき声をたびたび聞いていたある日、野球グランドの幻影を見た。
「それ」とは野球場の事なのだ。
そして、野球場を作ればシューレス・ジョーが野球をやりに来る。そうだと思った。
レイはトウモロコシ畑をつぶして野球場を建てた。アニーは当初反対したものの、レイの意思を尊重した。あなたが本気でそれをやらなければならないのなら、やるべきよ。作るために貯金を切り崩した。
何も起こらない。レイは待ち続けた。
ある日。レイと妻のアニーが野球場を維持していくのは難しいと話し合っていた。娘のカリンが、野球場に誰かいるよ、と言ってきた。野球場に目をやると、野球選手が一人立っていた。シカゴ・ホワイトソックスのユニフォームを着たシューレス・ジョーだ。
夢のような日々が続いた。シューレス・ジョーはチームメイトを連れてきて野球をやり始めたのだ。だが、シューレス・ジョーはレイたちだけにしか見えない。借金の話をしに来たアニーの兄たちには見えないのだ。
彼の苦痛を癒せ
レイに新しい声がささやき声が聞こえた。
「彼の苦痛を癒せ」
彼とは誰なのだ?そして何の苦痛を癒せというのだ…?
レイはアニーと一緒にPTAに参加していた。議題に上がったのは、作家テレンス・マンの本が教育にふさわしいかどうかというものだった。この議論の中で、レイは気がついた。「彼」とはテレンス・マンの事ではないだろうか。
テレンス・マンを調べると、本の中にレイの父親の名前が主人公として使われているものがあることがわかった。そして、インタビューでドジャースで野球をするのが夢だと言っていたのを見つけた。
テレンス・マンをたずねる、そういうレイに気は確かかというアニー。だが、二人ともまったく同じ夢を見たことを知ると、アニーはすぐにでも行くようにうながした。
レイはテレンス・マンを訪ねた。いきなり現れたレイをテレンス・マンは怪しみまともに話を聞かなかった。だが、その情熱に負け、レイと一緒に野球場に行った。
やり遂げるのだ
野球場で、次のお告げがあらわれた。
「やり遂げるのだ」
そして、バックスクリーンには、ムーンライト・グラハムという名前とミネソタの場所があらわれた。
テレンス・マンは見てもいないし聞いてもいないように見えた。そのお告げをテレンス・マンも見て声を聞いていた。
二人は、いっしょにムーンライト・グラハムをたずねるためにアメリカ大陸横断旅をした。だが、ムーンライト・グラハムはすでに亡くなっていた。
グラハムは元メジャーリーグの選手だったが、野球では芽が出ず、医者になっていた。
夜の道。レイは周囲に違和感を感じた。周りの風景がすべて昔のものになっている。レイは老人のグラハムであった。そして、彼と会話した。
グレハムは大リーガーだった時、長い間ベンチにいた。ある日、ライトへ行けと監督の指示があり、守備についたが、打球は一度も飛んでこず、打席に立つ前に試合は終了した。そしてマイナー落ちする。そのまま、グラハムは引退をした。
グラハムは夢を叶える一歩手前で夢が叶わなかった事を後悔していた。一度でいいから打席でバットを振りたかったのだ。
その夢を叶える場所がある。だから、一緒に来てくれないかとレイは誘った。だが、グラハムは断った。彼は医者としての仕事もあり、奥さんを愛していた。
レイはグレハムのことはあきらめようと思った。借金のこともあり、家に帰ろうと決めた。だがそのまえにテレンス・マンを送らなければならなかったが、彼はレイの家に行くという。その途中、ヒッチハイクで拾った青年がいた。若き日のグラハムだった。
家に戻ったレイ。アニーとカリンにテレンス・マンとグラハムを紹介した。
そして、グラハムはシューレース・ジョーらと一緒に野球の試合をした。
テレンス・マンはこの野球場に多くの人が来ると告げた。借金の催促をしに来たアニーの兄は野球場を売れと言う。この諍いの中でレイの娘のカリンが階段から落下した。カリンの意識がない。助けたのが、医師のグラハムだった。
アニーの兄にもようやく選手たちが見えるようになった。そして、「ここは、絶対に売るな」と言い出した。
シューレース・ジョーはテレンス・マンを、向こうに誘った。レイはなぜ自分ではないのだ、というが、レイには妻と娘がいる。テレンス・マンが向こうに行ってしまった。
選手が一人残っていた。キャッチャーだ。マスクを取った。
それは、レイの父だった。
映画情報(題名・監督・俳優など)
フィールド・オブ・ドリームス
(1989年)
監督:フィル・アルデン・ロビンソン
原作:W・P・キンセラ
脚本:フィル・アルデン・ロビンソン
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:
レイ・キンセラ/ケヴィン・コスナー
アニー・キンセラ/エイミー・マディガン
カリン・キンセラ/ギャビー・ホフマン
シューレス・ジョー・ジャクソン/レイ・リオッタ
マーク/ティモシー・バスフィールド
テレンス・マン/ジェームズ・アール・ジョーンズ
アーチボルド・グレアム/バート・ランカスター
アーチー・グレアム/フランク・ホエーリー
ジョン・キンセラ/ドワイヤー・ブラウン