このアルバム
エンヤのメジャーデビュー作です。
シングルカットされた”Orinoco Flow”はヨーロッパをはじめとして当時の音楽シーンに衝撃を与えました。
それは、当時、ポップスやロックが全盛の時代にあって、全く異質の音楽が出現したからに他ありません。
また、”Orinoco Flow”のPVも、それまでとは異なる新たな映像感覚を提供し、話題をさらいました。
“Orinoco Flow”の話題は、今となってはEnyaを語る上で当然のことになっていますが、ボーカルの多重録音に集中しました。
ボーカルを何十回もテープにとるという作業のことです。
当時はパソコン上での処理が出来なかったので、全てテープでの仕事になっており、膨大な時間がかかりました。
現在となっては信じられないほど面倒な作業を行っていたのです。
多重録音に話題が集中したのは、一つには手法の斬新さもありますが、一人の人間でメインボーカルからバックボーカルまでを担当することで、曲全体を調和できることを認識させるきっかけになったからだと思います。
一人で全てを担当すれば、当然同じ声質で曲が完成します。メインボーカルとバックボーカルの相性は良いはずです。
気が付けば当たり前のことですが、当時、通常ポップスやロックの場合、バックボーカルはコーラスなどの別の人間に歌わせるのが常識でした。その常識に対するアンチテーゼにもなったのだろう思います。
今となっては”癒し系”などの代名詞となっているエンヤですが、メジャーデビュー当時は”革新性”と”斬新性”を兼ね備えた音楽だったのです。
本作はヒットし、エンヤは一気にメジャーとなります。
エンヤとプロデューサーのニッキー・ライアン、詞を担当しているその妻のローマ・ライアンとのトリオはこの作品から始まりました。
※この系統の音楽で他のアーティストを探したい場合は「美しき曲たち ワールドでファンタジックな音色」が多少なりとも参考になると思います。
曲目
Enya
1988
Album title
“Watermark”
Label : Warner Music UK
1 Watermark
2 Cursum Perficio
3 On Your Shore
4 Storms in Africa
5 Exile
6 Miss Clare Remembers
7 Orinoco Flow
8 Evening Falls…
9 River
10 The Longships
11 Na Laetha Gael M’oige
エンヤのアルバム
- Enya (1987) (reissued in 1992 as The Celts)
- Watermark (1988) 本作
- Shepherd Moons (1991)
- The Memory of Trees (1995)
- A Day Without Rain (2000)
- Amarantine (2005)
- And Winter Came… (2008)
- Dark Sky Island (2015)
1988年の他のアルバム