このアルバム
本作も、エンヤが作曲と歌を担当し、長年の盟友であるプロデューサーのニッキー・ライアンと詩人のローマ・ライアンと共に練り上げ磨き上げられました。前作から5年ぶりです。(通算5枚目)
前作の印象を新鮮味がなく、飽きが来てしまい、かつ、内省的なイメージの曲が多いと書きました。本作は陰陽が分かれてバランスが良くなっている感じがあります。
本作に収録されている内省的な音楽も、穏やかなものが多く、ディープなものというより表層的なもので、静かな泉を彷彿させます。
こういう曲から受ける印象は、なにやら吹っ切れたというものでです。全体的な力みというものが抜け落ち、たおやかで穏やかなアルバムとなっています。これまでのエンヤとは異なる新境地を開いたというべきかもしれません。
このアルバムは、全体の流れ・構成がしっかりしている点に特徴があると思います。恐らく、題名の”A Day Without Rain”からイメージされるストーリーだてにしているのでしょう。ですから、アルバム収録の順番で聞くのが一番楽しめるのではないでしょうか。
シングルカットや映画・ドラマで使われた曲の多いアルバムです。ですが、シングルカットの曲を聞くというよりは、ストーリーを楽しむアルバムであると思います。
このアルバムからの個人的選曲は次の曲です。
- Wild Child
- Silver Inches
エンヤは本来アルバム主義者のアーティストです。アルバム全体を通して聞くのがエンヤの世界が最も楽しめるだろうと思います。
1~3曲目では、導入部分からシングルカットに適する曲を持ってき、4曲目でいったん暗く重い雰囲気にして、5曲目に穏やかな曲を持ってきています。
暗くて今にも雨のふりそうな深い谷底からはい上がって、ほっと一息を入れる感じでしょうか。6曲目、7曲目では、静かな古い森の中をゆったりと歩いているような穏やかさと和みを感じることが出来るでしょう。
そして、8曲目で気持ちの弾むような気持ちになり、雨のない晴れ晴れとした日々の楽しさを享受することが出来ます。
9曲目からは家に戻ってその日一日の出来事を振り返っている印象を受けます。
アルバム一枚で1日に起きた出来事を表現しているかのようです。
このアルバムは盤を製造した国により、曲目の一部が異なるようです。
例えば、私の持っているドイツ盤と、日本盤とは11曲目が異なっています。
日本盤の11曲目はボーナストラックの”Isobella”です。そういう意味では、各国の盤を集めてみるのも面白いアルバムかもしれません。
※この系統の音楽で他のアーティストを探したい場合は「美しき曲たち ワールドでファンタジックな音色」が多少なりとも参考になると思います。
曲目
Enya
2000
Album title
“A Day Without Rain”
Label : Warner Music UK
1 A Day Without Rain
2 Wild Child
3 Only Time
4 Tempus Vernum
5 Deora Ar Mo Chroi
6 Flora’s Secret
7 Fallen Embers
8 Silver Inches
9 Pilgrim
10 One By One
11 The First Of Autumn
12 Lazy Days
エンヤのアルバム
- Enya (1987) (reissued in 1992 as The Celts)
- Watermark (1988)
- Shepherd Moons (1991)
- The Memory of Trees (1995)
- A Day Without Rain (2000) 本作
- Amarantine (2005)
- And Winter Came… (2008)
- Dark Sky Island (2015)
2000年の他のアルバム