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(映画)おくりびと(2008年)の感想とあらすじは?

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静謐(せいひつ)という言葉があります。

一般的には、おだやかで、しずかで、物音がしない様子をいいますが、心の静けさ、気持ちの安定、落ち着き、穏やかさ、心地よさといった心の平安を意味する言葉でもあります。

それに「謐」には静かに語るという意味合いもあります。

まさに、この映画は「静謐」そのものの映画です。

音楽もいいです。

チェロという低音域の出る楽器を使って、雰囲気がさらに良くなっています。

チェロの形というのも暗示的です。

それはどことなく人の形を連想させる楽器だからでしょう。

それをやさしく弾く主人公と、遺体を真摯に清める姿とに通じるものがあります。

この映画の登場人物にはそれぞれ明確な役割が与えられています。ある意味、暗示的でもあります。

銭湯のおばちゃん、そこの常連、納棺師の仕事に偏見を抱く銭湯の息子で主人公の同級生、そして、主人公の父親…。

映画の話の流れ上、最後に誰を清めて送り出すのかは早い段階でわかります。予定調和ではあるが、形式美の美しさがそこにあります。

この映画自体そのものが形式美なのかもしれません。それは納棺師が遺体を清めて納棺するまでの様々な所作にも表れています。

死とは禁忌であったがゆえに、儀式としての形式美が存在し、清浄化するという過程が培われてきました。

それが昇華されることによって、この映画のような荘厳な静謐の世界がもたらされるのでしょう。

惜しむらくは、主人公の妻役がもう少し感情豊かに表現できる女優であった方が良かったでしょう。

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あらすじ/ストーリー/ネタバレ

チェロ奏者の大悟は、所属していた楽団の突然の解散を機に演奏家を諦め、妻と一緒に故郷の山形へ帰ることにした。

職探しをしていた大悟の目にとまった求人広告は「年齢問わず、高給保証!実質労働時間わずか。旅のお手伝い。NKエージェント!!」というものだった。

早速面接に向かった彼を待ち受けていたのは、なぜか棺桶が置いてある古びた事務所だった。ほどなく現れた社長の佐々木は、履歴書に目を通すこともなく大悟の顔を見るなり、一発で採用を決める。

旅行代理店だと思った仕事は、「旅立ち」をお手伝いする「納棺師」というものだった。

慌てる大悟だが、佐々木に言われるがまま引き受けてしまい、妻の美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたと答えてしまう。

晩秋の庄内平野。

新人納棺師としての日々がはじまった。

美人だと思ったらニューハーフだった青年、ヤンキーの女子高生、幼い娘を残して亡くなった母親、ルーズソックスを履いてみるのが憧れだったオバアチャン、沢山のキスマークで送り出される大往生のおじいちゃん…。

さまざまな死や別れと向き合ううちに、大悟は納棺師の仕事に理解を示すようになっていった。

そんな矢先、美香に本当のことがばれてしまい、彼女は「汚らわしい!」と言い残して実家に帰ってしまう。

彼女が離れていったことは大きなショックだったが、真摯な態度で仕事にのぞむ信念はゆるがず、彼は彼女が戻ってくるのを待つことにした。

庄内平野に春が訪れた。

納棺師として充足感と誇りを胸に刻みはじめていた大悟のもとに、さまざまな知らせが舞い込んできた。

美香の懐妊、幼馴染みの母親の死…

そして、30年間ゆくえ知らずだった父親の死…。

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映画情報(題名・監督・俳優など)

おくりびと
(2008年)

監督: 滝田洋二郎
脚本: 小山薫堂
音楽: 久石譲

出演:
小林大悟 /本木雅弘
小林美香 /広末涼子
山下ツヤ子 /吉行和子
佐々木生栄 / 山崎努
上村百合子 / 余貴美子
平田正吉 / 笹野高史
山下 / 杉本哲太
小林淑希 / 峰岸徹
ツヤ子の孫娘 / 松田七星
佐々木が納棺した女性 / 宮田早苗
上記の女性の夫 / 山田辰夫
曽根崎 / 石田太郎
大悟が所属していたオーケストラの指揮者 / 飯森範親
小林和子 / 星野光代
留男 / 白井小百合
留男の母 / 小柳友貴美
留男の父 / 大谷亮介

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