記事内に広告が含まれています

(映画)グリーン・デスティニー(2000年)の考察と感想とあらすじは?

この記事は約5分で読めます。

原題は「臥虎蔵龍」。英語の題名は「Crouching Tiger , Hidden Dragon」。

原作は、1920年代に上海の作家・王度廬(ワン・ドウルー)が書いた4巻になる武侠小説です。

スポンサーリンク

考察と感想

「臥虎蔵龍」は、場所が見かけ通りでないことを表す中国の古い格言をもとにしています。

題名には、本作の登場人物の個性が反映されています。

英雄リー・ムーバイの内側に潜む愛。

女武侠ユー・シューリンの穏やかな外見の下の熱い想い。

政略結婚を強いられる若い貴族の娘イェンの可憐な姿からは想像も出来ない秘めた激しい愛と武術の技。

それぞれが表面からでは窺い知れないものを内に秘めて生きています。

ですから、邦題のように「グリーン・デスティニー」としてしまうと、何のことだかわからなくなってしまうことになります。

日本語に該当することわざや格言がないから仕方ないのかもしれませんが…。

19世紀初め

舞台となる19世紀初めは、老荘哲学(道教)の価値が尊重され、武術の英雄たちが尊敬されていました。

400年前に作られ、太古のパワーに満ちた秘剣・碧名剣(グリーン・デスティニー)を巡り、英雄リ-・ム-バイ、その女弟子であるシュ-リン、貴族の娘イェン、盗賊の頭ローらが激しく交錯します。

本作のような映画は、中国圏においては武侠片(英雄時代劇映画)と呼ばれ、映画や小説で非常に高い人気を誇っているジャンルです。

共通するのは、主人公たちが人間の領域を超えたパワーを持ち、剣やカンフーの達人ということです。

さしずめ、日本でいえば剣豪ものの時代劇といったところでしょうか。

ワイヤーアクション

武侠もの映画は、アクション場面はあり得ない動きをするところに特色があります。いわゆるワイヤーアクションです。

これがスピード感を持たせ、あるときには優雅さすら感じさせます。この優雅さが一種のファンタジー的な一面を映画にもたらします。

悪くいえばニセモノの人間の動きですので、ワイヤーアクションが好きでないという人は、本作を見ても面白くないでしょう。

そうでなければ、それなりに楽しめると思います。

公開当時、欧米圏ではワイヤーアクションは斬新な手法で高評価を得ました。そして、以降の映画に大きな影響を与えています。

音楽

音楽が良いです。チェロ演奏がヨーヨー・マということが大きな要素ですが、それ以上に、この映画にマッチしたスコアであることが重要な要素です。

武侠ものには、一種の悲劇的な要素がなければならないと思います。

単なる英雄譚では面白みがありません。人智を超越した技量の持ち主が、その超越した力を持ってしても回避できない事故や死というものと直面しなければなりません。

一種の滅びの美学を表現するということですが、これを盛り上げる音楽が、壮大な英雄賛歌であっては困ります

限りなく情緒のあるもの悲しさの漂う音楽でなければなりません。

こうした点、本作の音楽は、まさにぴったりです。低音で感情の入ったチェロが心に染み入ります

ロケ地

竹林の場面は、四川省の宜賓市で撮影されました。蜀南竹の竹林は広大だそうです。

同じく四川省。九寨溝もロケ地になりました。チベット仏教ゆかりの寺院が点在する地域です

標高2000〜3100mの高地に原生林が広がり、エメラルドブルーをはじめ、光のかげんによって色を変える棚田状の池「海子(ハイズ)」が点在しています。

海子(ハイズ)は全部で108個あると伝えられています。108は煩悩の数です。

ワイヤーアクションで湖面の上を飛ぶシーンは、安徽省黄山市の宏村の南湖で撮られました。

武侠小説の系譜

原作者の王度廬(ワン・ドウルー)は旧武侠小説と呼ばれる作家群に属します。

1920年代から1940年代にかけて書かれた武俠小説は、香港や台湾で1950年代以降に書かれた武侠小説と区別されて旧武俠小説と呼ばれます。

一方で、1950年代以降に香港や台湾で書かれるようになった武侠小説を新武侠小説と呼んでいます。

新武侠小説の代表的な作家として金庸、梁羽生、古龍がいます。この3人を指して3大作家と呼ばれます。金庸の作品はほとんどが日本語に翻訳されており、文庫等で入手しやすいです。

新武侠小説の中から、梁羽生の「七剣下天山」を原作に映画化されました。「セブンソード」です。

日本の小説家の中にも武侠小説を書いている作家がいます。武田泰淳田中芳樹です。武田泰淳の「十三妹」でシイサンメイの読みが知られるようになりました。

本作の続編である「Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー」がネットフリックスの オリジナル作品として、2016年2月26日から世界同時配信されました。

日本国内で雰囲気を味わえる竹林

竹林を見ると本作を思い出します。日本国内には有名な竹林が数多くありますので、雰囲気に浸ってみてはいかがでしょうか。

最も有名なのが、京都の竹林の小径ではないかと思います。

関東にも有名な竹林があります。鎌倉の「竹の寺」報国寺や、水戸の偕楽園の竹林も見事です。

次の映画もおススメです。

この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

あらすじなどは次のページです。

タイトルとURLをコピーしました