映画「武士の献立」(2013年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

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感想/コメント

加賀騒動の時期が舞台

「武士の家計簿」に続き、加賀藩を舞台に料理方の「包丁侍」を描いた時代劇です。

時代設定は江戸時代の加賀騒動のころです。江戸の三大お家騒動の一つで、他は伊達騒動、黒田騒動(または仙石騒動)です。

映画「武士の家計簿」(2010年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

不況にあえぐ現代日本を幕末の一家族の中に凝縮させたような映画である。その分、地味な映画。江戸時代後期から末期の幕末にかけ、諸藩はおろか中央政府たる幕府自身も困窮に喘いだ。

加賀騒動を扱った海音寺潮五郎の「列藩騒動録(上)」もあわせて読むと一層楽しめます。

海音寺潮五郎の「列藩騒動録(上)」を読んだ感想とあらすじ
各騒動は年代順というわけではない。幕末の騒動から江戸初期の騒動までが散りばめられている。あるべき史実を丹念に追っている史伝である。

実在の包丁侍

実在の包丁侍、舟木伝内と安信の親子を主要な登場人物とし、主人公は安信の妻・春です。「包丁侍」とは、料理で将軍家や大名家に仕える武士を指します。

舟木伝内は四條流の「幕府台所人」に師事し、1707年(宝永4年)より加賀藩の「御料理人」となりました。「ちから草」「料理無言抄(安信との共著)」など加賀料理の基本となる書を著した人物です。

舟木家は明治に至るまで7代にわたり加賀藩御料理人を務めた家柄だそうです。

加賀料理

加賀料理は、その歴史的立地と歴史背景から多彩な味となっています。

加賀や能登は、その立地から大陸の食文化の玄関口でした。これは古代の流通の関係によります。

そして、中世から近世にかけては北前船の拠点でした。この時代、太平洋航路よりも日本海航路が主流でした。全国各地の物品が運ばれてきていたのです。

また、海と山に恵まれており、昔から新鮮な食材を豊富に確保できました。

こうした地の利によって金沢独特の食文化が育てられ、加賀料理につながっていったのです。

金沢が歴史の表舞台に登場したのは戦国時代ですが、これは一向宗の総本山である本願寺が加賀支配の拠点としてこの地を選んだからです。本願寺によって京風の味がもたらされたのです。

さらに、江戸時代には、江戸の武家風の習慣も入り込んできました。そのため、正月の雑煮の餅は京風の丸餅と関東風の角餅が混在しているそうです。

京風と江戸風が混在しているのが加賀料理だということになります。

料理人を扱った映画はそんなに多くはないですが…。

あらすじ/ストーリー

幼い春と側室のお貞の方

春は加賀藩6代藩主・前田吉徳の側室であるお貞の方のところに奉公に出ていた。
病床のお貞の方のために、春はおかゆを作って出した。生姜を入れたおかゆだ。
お貞の方は美味しいと食べてくれた。

春にとっては親代わりともいうべき人だ。
春の両親は割烹屋を営んでいたが、大火で亡くなっていた…。

鶴モドキ

加賀藩江戸屋敷。
春は、商家に一度嫁いだものの、気の強さなどから離縁され、再び戻ってきていた。

前田吉徳は足軽出身の大槻伝蔵を登用し、大胆な藩政改革を進めているところだった。この日も、舟遊びよりはるかに安上がりということで、能を観ていた。

能を観終わった前田吉徳らのまえに、お椀が出された。
大槻伝蔵は、料理方の舟木伝内を連れてきた。舟木伝内は椀が鶴モドキだと言ったが、何を使ったのかを言わなかった。

前田吉徳は分かるものがいたら褒美を与えると言ったが、正しく言えたものがいない。

お貞の方が春に答えさせた。春が正解を言った。

これを聞いた舟木伝内は春をぜひ自分の息子の嫁にと願い出た。これをお貞の方から聞いた春は、縁談を断った。しかも相手は自分より4つも下だという。

明日葉

春を舟木伝内がザルを持って訪ねてきた。青菜を持ってきている。その青菜を見て春は明日葉だとすぐに気がついた。

春は明日葉を料理し、おすまし、おひたしなど数種類をすぐにこしらえた。

舟木伝内は、料理を食べ終わると、どうしても春をあきらめきれないと言い出した。

長男は流行り病で亡くなってしまった。次男の安信が舟木家を継ぐことになったが、剣術に未練があって、御役目に身が入らない。

舟木伝内は春に頼んだ。安信の根性を叩き直してもらいたいのだ。

加賀へ

春が江戸から着いた。
舟木伝内はまだ江戸屋敷での勤めがあり、戻ってこれない。
出迎えたのは、姑の満だった。その頃、安信は養心館道場で稽古をしていた。

満は春に言った。
江戸では初鰹を好むと聞いているが、脂ののった戻り鰹の方が好きだという人も少なくない。
でも、満は意地悪な姑ではなかった。

着いたその日に仮祝言を執り行った。

安信の親友・今井定之進の妻・今井佐代が挨拶に来た。

春と安信

親戚を招いての試食会。安信の料理を次々と批判していく親戚。

次に出されるのは、汁もの。春は汁の香りを嗅いで、鰹節を入れて味付けを変えた。
この汁の味を親戚は絶賛したが、安信は春に立腹した。

包丁侍を馬鹿にする発言をする安信に春は怒りを覚え、勝負を挑んだ。
刺身での勝負だ。春が勝てば安信は春の指南を受ける。安信が勝てば離縁だった。

勝負は春が勝った。春の厳しい指南が始まったが、もともとも筋もよく、安信は徐々に腕をあげていった。

昇進試験

料理方の昇進試験が行われた。

安信は自信のほどはなかったが、春の特訓の成果がいき、合格した。

安信の昇進を家族はもちろん、親友の今井定之進・佐代夫妻も喜んだ。
そして、合格を機に、舟木伝内は隠居を口にした。

春は姑・満から、安信と佐代がかつて恋仲だったことを教えられる。

改革派の失脚

1年後。

安信は改革派の集まりに参加するようになっていた。

改革派の中心人物は大槻伝蔵。後ろ盾は藩主・吉徳だ。だが、この吉徳が急死してしまう。
そして、保守派の重臣・前田土佐守直躬ら巻き返しがあって大槻は失脚して越中五箇山に配流となった。

第七代藩主・宗辰もすぐに亡くなり、異母弟の前田重煕が第八代藩主となったが、毒殺未遂事件が発覚した。
実行犯とされたのが、出家していた真如院(お貞の方)だった。第八代藩主が亡くなれば、真如院の子が藩主となるからだ。

真如院が幽閉された。そうと知った春は夫・安信の助力を得てお貞の方と再会したが、大槻が自害した後にお貞の方も後を追うことになる。

大槻派の一掃が始まった。今井定之進をはじめ、改革派の面々は改易となった。
だが、舟木安信は下士の身分のため何の咎めもなかった。

饗応料理

藩主・重煕の国許入りを祝って、徳川家や近隣の大名を集めて饗応料理を振舞うことになった。
その仕切りに、舟木伝内が頭取、安信が頭取補佐を勤めることを命ぜられた。だが、安信は気乗りがしない。
大槻派を追いこみ、親友・今井定之進を改易に追い込んだ前田土佐守直躬の命には従いたくなかったからだ。

藩の実権を握っている前田土佐守直躬が狩りに出るとの噂が流れ、聞きつけた旧大槻派が結集した。
このことは今井定之進からの手紙で安信の知るところとなり、前田土佐守直躬の暗殺計画に加わろうとする。
そして、深夜、安信は日本刀を研いでいるところを春に見られた。

春は日本刀を盗み出し、家を飛び出した。安信が暗殺に加わることを阻止するためだ。
木刀だけを携え、集合場所に安信は駆け付けたが、内通によって既に全員斬殺されていた。

激怒した安信は、帰宅した春を手討ちにしようとするが、春をかばったのが姑だった。
舟木家を御取り潰しにするつもりか。母親は息子を叱責した。

そして、父が倒れた。

安信は春と二人で能登へ食材探しの旅に出た。

能登の旅と饗応料理

安信と春の旅が始まった。
旅は過酷だった。春の足袋は肉刺を潰して血だらけになっていた。

一つ一つ食材を訪ね、父親が書き記した綿密な帳面をしらみつぶしに調べ上げていった。

饗応当日、安信は台所方の中心となって料理を振舞った。
次々と料理が運ばれていく。一の膳、二の膳、そして膳は八の膳まで続いた。

饗応が終わり、前田土佐守直躬が舟木伝内・安信親子を呼んで労をねぎらった。

安信が家に帰ると、春の姿が消えていた。
置手紙があった。自分の役目は終わった。舟木家にもっとふさわしい嫁を探してほしい、という内容だった。

安信は、春が失踪したことを知らされて藩内を探し回った。
そして、能登の海女が集まる店で働いていた春に再会し、二人で家へ帰っていった。

映画情報(題名・監督・俳優など)

武士の献立
(2013年)

監督:朝原雄三
脚本:柏田道夫,山室有紀子,朝原雄三
音楽:岩代太郎
主題歌:Chara「恋文」
語り:中村雅俊

出演:
舟木春/上戸彩
舟木安信/高良健吾
舟木伝内/西田敏行
舟木満/余貴美子
今井佐代/成海璃子
今井定之進/柄本佑
お貞の方~真如院/夏川結衣
大槻伝蔵/緒形直人
前田土佐守直躬/鹿賀丈史

浜野謙太
海老瀬はな
大森絢音
綾田俊樹
加藤満
掛田誠
ふせえり
猪野学
宮川一朗太
笹野高史

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