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(映画)ベン・ハー(1959年)の考察と感想とあらすじは?

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映画史上で見ておかなければならない映画があるとしたら、本作はそうした作品の一つだと思います。

ですが、とにかく長いです。210分を越えますので、途中で幕間休憩が入ります。

※あらすじなどは2ページ目です。

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考察と感想

映画は、ローマ帝国支配時代のユダヤ人王族のジュダ・ベン・ハーの数奇な半生にイエス・キリストの生涯を交差させて描かれています。

始まりと終わりはイエス・キリストの生誕と死です。

実に興味深いのは、キリストの生誕と死と、ユダヤ人の青年の話を絡めている点です。

主人公のジュダ・ベン・ハーはユダヤ人であり、ユダヤ教徒です。

映画では宗教として誕生したばかりのキリスト教は、ユダヤ教の一種の分派のような描かれ方になっています。

分派のようなというのは、イエス・キリストを「ラビ」と呼んでいるからです。

ラビとはユダヤにおける宗教指導者のような立場の人間を指します。

映画としてスペクタクル性を求めるなら、キリストの生誕と死を映画に挿入する必要はありません。

ジュダ・ベン・ハーが臥薪嘗胆のすえメッサラに復讐するという単純な構図でいいからです。

では、何故わざわざイエス・キリストの生誕と死を映画で描いたのでしょうか?

それこそが、この映画の大きなポイントでしょう。

最後のシーンの「奇蹟」を見せるため?いやそんな単純なことではないはずです。

その意図は、見るものによって解釈が異なるかもしれません。

ですが、多様な見方ができるという点においても、この映画は単なるスペクタクル映画ではないということを示しています。

この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

貴種流離譚

王族であるベン・ハーの波乱に満ちた人生は、貴種流離譚として捉えることもできるでしょう。

ジョーセフ・キャンベル「千の顔をもつ英雄」でいうところの、分離(セパレーション)⇒通過儀礼(イニシエーション)⇒帰還(リターン)の流れで映画を捉えることが可能だからです。

「千の顔をもつ英雄」は、ジョージ・ルーカスに強い影響を与えたことで知られ、その影響はスター・ウォーズに強く反映されていることで知られる本です。

本作は「千の顔をもつ英雄」の影響を受けたものではないですが、その構成は「千の顔をもつ英雄」でジョーセフ・キャンベルが解き明かした、神話の類型に極めて似ています。

アカデミー賞

本作はルー・ウォーレスによる小説「ベン・ハー」の3度目の映画化作品です。名匠ウィリアム・ワイラーがメガホンを取って映画化されました。

アカデミー賞にて11部門を獲得しています。この記録は「タイタニック」(1997年)、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(2003年)がタイ記録を樹立するも破られていません。

当時、54億円もの制作費が投入される大作でした。制作費の多くはセットで費やされたのではないかと思える作りです。

見どころ

見所はクライマックスの戦車競争のシーン。実物大に組まれた競技場のセットでの戦車競争シーンは見応えがあります。

しかし、実際にこれだけの規模のセットを作ってしまうとは…今ならあり得ないですし、あれだけのエキストラを使うことも考えられません。

ですが、この映画一本で倒産寸前だったMGMを一気に立て直すことができました。それほどの大ヒット作品となり、映画史上に残る名作となった作品です。

なお、この戦車競争のシーンは、「スター・ウォーズ1ファントム・メナス」のポッド・レースとよく似ています。

書籍 この時代を扱っている本。

映画 馬車の競争シーンは「スター・ウォーズ1ファントム・メナス」のポッド・レースのシーンに影響を与えたのでしょうか…。

映画 ローマ時代を舞台にした映画

あらすじは次ページです。ネタバレもあります。

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