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(映画)ラストエンペラー(1987年)の考察と感想とあらすじは?

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中国の最後の皇帝溥儀の波乱に満ちた生涯を描いています。

すでに皇帝の地位から追われ、日本軍に協力した罪で戦犯として扱われる溥儀の姿から始まります。

そして、尋問を受けながら、かつての在りし日を回想するというつくりです。

幼少の頃、少年の頃、青年になってからと、それぞれの区切り毎に尋問中の溥儀の姿に変わり、過去とのコントラストが明確化されています。場面の切り替えのタイミングが上手いです。

この過去と今をいったり来たりする手法は、ドキュメンタリーなどでは効果的に使われることが多いですが、本作のような映画にもあうことがよくわかります。

感想/コメント

溥儀の絶望

溥儀は、ある意味悲劇の人です。

何も知らない坊ちゃんが、その地位を他人に利用されるだけ利用されて最後は捨てられる

そういう印象を受けます。

彼にも意志というものがあったのでしょうが、それを許さない周囲の環境がありました。

そして、なによりも世間を全く知らない溥儀自身。

何も知らなかったことを身をもって知らされた後の絶望。

その絶望の果てが戦犯として尋問される日々です。

この時の溥儀の力のない眼。

ジョン・ローンは上手く演じています。

絶望に満ちた力のない眼は、若き日の溥儀の眼に力のある時と比べてみると、一目瞭然です。

歴史は百年たってからでないと正当な評価が出来ないといいます。

それは、その時代を生きた人がほとんどいなくなってからでないと、客観性がでないということなのでしょう。

溥儀は1967年に死去していますで、彼の評価に関してはまだまだ先の話です。

彼と、彼の生きた時代については半世紀後の人々にその評価をゆだねましょう。

サントラ

さて、この映画を支える大きなものとして、ラストエンペラーのサントラがあります。

これほどドラマティックに映画を盛り上げているのも珍しいかもしれません。

音楽を担当したのはデイヴィッド・バーン、坂本龍一、コン・スー。坂本龍一が作曲したテーマ曲は有名です。

坂本龍一が担当した様々なバリエーションのタイトルテーマ曲です。これとメインタイトルテーマ曲を担当したDavid Byrne。この2曲がとても印象的な一枚になっています。

David Byrneの担当している曲は可愛らしく、ユーモアに溢れるものが多いのも特徴的です。

東洋的なサウンドで包まれ、バランスも良く、サントラ以上のものに仕上がっているアルバムです。

※曲のリストをうまくご活用ください。きっとお目当ての曲が見つかると思います。良い音楽との出会いを楽しんでください。
※この年にリリースされたアルバムを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

曲目

ラスト・エンペラー
1987
Ryuichi Sakammoto, David Byrne and Cong Su

Artist / Title
1 Ryuichi Sakamoto / First Coronation
2 Ryuichi Sakamoto / Open the Door
3 Ryuichi Sakamoto / Where Is Armo ?
4 Ryuichi Sakamoto / Picking up Brides
5 Ryuichi Sakamoto / The Last Emperor (Theme Variation 1)
6 Ryuichi Sakamoto / Rain (I Want a Divorce)
7 Ryuichi Sakamoto / Baby (Was Born Dead)
8 Ryuichi Sakamoto / The Last Emperor (Theme Variation 2)
9 Ryuichi Sakamoto / The Last Emperor (Theme)
10 David Byrne / Main Title Theme (Last Emporer)
11 David Byrne / Picking a Bride
12 David Byrne / Bed
13 David Byrne / Wind, Rain and Water
14 David Byrne / Paper Emporer
15 Cong Su / Lunch
16 The Red Guard Accordian Band / Red Guard
17 The Ball Orchestra of Vienna / The Emporer’s Waltz
18 The Girls Red Guard Dancers / The Red Guard Dance

この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

1950年。ハルビン駅

1950年。ハルビン駅で次々と中国人戦犯たちが送りこまれていた。その人の中には清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の姿もあった。

彼はトイレで手首を切り自殺を図った。彼の脳裏には幼い頃の記憶がよぎった。

幼少の溥儀

幼少の頃、皇帝が帰らぬ人となり、実質的支配者だった西太后が、溥儀を紫禁城に迎え、次の皇帝に使命した。

紫禁城での生活は、外へ出ることは禁じられ、心の支えは乳母だけだった。

七年後。中国全土には革命の嵐が吹き荒れていた。

そんな頃、家庭教師としてやって来たレジナルド・ジョンストンから様々なことを学ぶ。

やがて十五歳になった溥儀は十七歳の婉容を皇后に、十二歳の文繍を第二の妃に迎えた。

紫禁城を追われる

1924年。溥儀は紫禁城を追われ、婉容、文繍、女官らと共に英国大使館に保護されることになる。

溥儀は、日本の甘粕大尉と出会った頃の日々を思い出していた。天津の租界地でプレイボーイの生活を楽しんでいるころ、蒋介石率いる国民党が上海を攻略した。

甘粕は溥儀に、日本公使館へ逃亡するように指示する。

民主主義に日覚めた文繍は離婚を申し出、溥儀の元を去り、かわりに日本のスパイであり婉容の従姉のイースタン・ジュエルがやってきた。

満州国の皇帝

やがて友人のジョンストンも帰国したが、1932年、全世界の非難にも関らず溥儀は傀儡政府である満州国の皇帝となった。

溥儀が東京を訪問中、婉容が誤ちを犯し身寵ってしまう。チャンは射殺され、子供が秘かに始末される。

1945年。日本は無条件降伏を宣言。日本へ脱出しようとした溥儀は、長春の空港でソ連軍の捕虜となった。

映画情報(題名・監督・俳優など)

ラストエンペラー
(1987)

監督/脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ/マーク・ぺプロー
プロデューサー:ジェレミー・トーマス
音楽:デイヴィッド・バーン、坂本龍一、コン・スー
美術:フェルディナンド・スカルフィオッティ
衣装:ジェームス・アシュソン
制作協力:李文達(溥儀の自伝『わが半生』の共著者)、愛新覚羅溥傑、郭布羅潤麒(婉容の実弟)、愛新覚羅毓セン

出演:
愛新覚羅溥儀/ジョン・ローン
婉容/ジョアン・チェン
文繍/ウー・ジュン・メイ(ヴィヴィアン・ウー)
レジナルド・ジョンストン/ピーター・オトゥール
陳宝逅宦(溥儀の教育係)/ビクター・ウォン
大李(溥儀の召使)/デニス・ダン
アーモ(溥儀の乳母)/イェード・ゴー
溥儀(3歳)/リチャード・ヴゥ
溥儀(8歳)/タイジャー・ツゥウ
溥儀(15歳)/ウー・タオ
戦犯収容所長/英若誠(イン・ルオ・チェン)
戦犯収容所尋問官/リック・ヤング
川島芳子(通称:イースタン・ジュエル)/マギー・ハン
西太后/リサ・ルー
瓜爾佳氏(溥儀の母)/リャン・ドン
溥傑/ファン・グァン
溥傑(7歳)/ヘンリー・キィ
溥傑(14歳)/アルヴィン・ライリーIII
甘粕正彦/坂本龍一
菱刈隆/高松英郎

受賞

第60回アカデミー賞

  1. 作品賞
  2. 監督賞
  3. 撮影賞
  4. 脚色賞
  5. 編集賞
  6. 録音賞
  7. 衣裳デザイン賞
  8. 美術賞
  9. 作曲賞

第45回ゴールデン・グローブ賞

  1. ドラマ部門作品賞

第42回英国アカデミー賞 作品賞

第62回キネマ旬報ベストテン ベストワン 委員選出 外国映画

1987年前後の興行収入ランキング

歴代の興行収入ランキング

  1. 日本歴代興行収入ランキング(Top100)
  2. 世界歴代興行収入ランキング(Top200)
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