ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の後日談です。それぞれの作品からキャラクターが登場します。
「不思議の国のアリス」からは、白ウサギ、マッドハッター、芋虫のアブソレム、チェシャ猫などが登場します。
「鏡の国のアリス」からは、双子のトウィードルディとトウィードルダム、バンダースナッチ、ジャヴァウォッキーなどが登場します。
そして、ストーリーも一部「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を利用しています。
これは、19歳になったアリスが、以前のことをすっかり忘れてしまっているという設定によるもののためです。そのため、同じことをもう一回経験してしまうのです。
「不思議の国のアリス」からは次のシーン。
1.初めの方の、白ウサギを追って穴に落ち、部屋から出るのに小さくなったり、大きくなったりするシーン。
2.マッドハッターと三月ウサギ、ネムリネズミ繰り広げる、終わることのないお茶会のシーン。
3.赤の女王の城に潜入して、そこで見た光景は、クロッケー大会で、槌の代わりにフラミンゴ、ボールの代わりにハリネズミを使うシーン。
4.女王のタルトを盗み食いをしたカエルのシーンは、元ネタを少し変えている。
「鏡の国のアリス」からは次のシーン。
1.オニユリやバラなどがしゃべるシーン。
2.マザー・グースの登場人物であるトゥイードルダムとトゥイードルディーが登場するシーン。
他にも細かいところで両方からストーリーを使っているかもしれません。
予言書の運命の日「フラブジャスの日」のつづりは”frabjous day”です。「鏡の国のアリス」ナンセンス詩「ジャバウォックの詩」にあります。
「ジャバウォックの詩」は、ジャバウォックと呼ばれる正体不明の怪物が名前のない主人公によって打ち倒されるという筋立てになっています。
あらすじ/ストーリー
アリスは幼い頃から不思議な世界に行く夢を見ていた。
ある夜、父親にその話をした。
「私、おかしいのかな?」と質問をすると「そうかもしれない。でも出来る人はみなおかしい」と優しく語りかけた。
13年後。
19歳になったアリス・キングスレーは、ガーデンパーティーに連れてこられた。そして、貴族の婚約者からプロポーズを受ける。
その会場で「時計を持った白ウサギ」の姿を見てアリスは、アリスは答えを出さずに「考えさせて」とその場を立ち去り、白ウサギを追って穴に転がり落ちてしまう。
穴の先は部屋だった。
ドアばかりの部屋から出たいアリスは、机の上にある鍵ですべてのドアを開けていくが、なかなか鍵が合わない。ようやく開いたのは、とても小さなドアだった。
アリスはそのドアを通り抜けられなかった。困ったアリスだったが、机の上になにやら瓶があり、飲めと書いている。
鍵を机に置いて飲んでみると、みるみる小さくなった。これでドアを通れると思ったが、鍵は机の上に置いたまま。小さくなったアリスではとどかない。
今度は床に食べろと書かれたケーキがおいてある。これを食べると、今度はみるみる大きくなった。大きくなりすぎたが、鍵を手にし、再び瓶の液体を飲んで、ようやくドアをくぐることができた。
アリスが辿り着いたのは、植物や動物がしゃべる不思議な世界だ。ワンダーランドと呼ばれている。
アリスの前に現れたワンダーランドの住人は、アリスを巡って言い争いをしている。本物のアリスなのかどうかを。
皆でアリスを芋虫のアブソレムのところへ連れて行った。そして、アブソレムは、アリスが本物のアリスには程遠いと告げた。
そして、皆はアリスに予言の書を見せた。そして「フラブジャスの日」が近いと言った。
かつて平和的な「白の女王」によっておさめられていたワンダーランドは、「白の女王」の姉「赤の女王」と腹心の黒よろいの「ハートのジャック」、怪物「ジャバウォッキー」によって支配されていた。
赤の女王が放った怪物が襲いかかってきた
アリスが救世主だと知った赤の女王は、彼女を生け捕りにするよう命令を下す。
逃げ出し、難を逃れたアリスは、チェシャ猫の案内で、帽子屋マッドハッターのところへ連れて行ってもらった。マッドハッターは三月ウサギ、ヤマネと狂ったお茶会を続けながら、アリスをずっと待っていた。
赤の女王に抵抗するマッドハッターは、アリスを連れて白の女王のもとへと向かう。だが、白の女王のもとへ向かう途中、赤の女王の臣下ハートのジャックに襲撃される。
アリスは赤の女王の手先犬ベイヤードを味方にし、マッドハッターを救いに赤の城へ潜入した。
魔法で大きくなったアリスは、赤の女王に気に入られるようになった。赤の女王は、体の一部が大きい者がお気に入りなのだ。
マッドハッターは赤の女王に似合う帽子を手作りして時間稼ぎをした。
アリスは赤の女王の近くにいて、「ヴォーパルの剣」を探し出した。そして、剣を守る猛獣バンダースナッチを味方につけて、「ヴォーパルの剣」を白の女王へ届けた。
あとは、アリスが予言書の通り、救世主の運命を受け入れて、赤の女王が操るジャバウォッキーを倒せば、平和が訪れるはずだった。
赤の女王の城では、マッドハッター達の処刑が言い渡されていた。マッドハッターは処刑台に立たされるが、チェシャ猫の助けで一命をとりとめた。そして、城や町の人々に反乱を呼びかけた。
「フラブジャスの日」。アリスが城に到着し、チェス盤に見立てた闘技場で、赤白の軍が向き合った。
アリスは、怪物ジャバウォッキーと対決することになった。アリスは父のおまじないを唱えながら怪物の首を落とし勝利した。
王冠を取り戻した白の女王により赤の女王とジャックが追放された。
マッドハッターはアリスにワンダーランドに残るよう引き止めるが、アリスは現実に戻る決意をした。
現実に戻ったアリスは、「あなたとは結婚はできない」としっかりと自分の意志を示して婚約を断わった。
そして、婚約者の父親に中国への貿易の話をして彼の会社に入ることになった。
そして、アリスが海外に羽ばたこうとする船出の時、青い蝶に羽化した賢者アブソレムがアリスの肩から舞っていった。
映画情報(題名・監督・俳優など)
アリス・イン・ワンダーランド
(2010年)
監督:ティム・バートン
原作:ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』/『鏡の国のアリス』
脚本:リンダ・ウールヴァートン
音楽:ダニー・エルフマン
出演:
アリス/ミア・ワシコウスカ
マッドハッター/ジョニー・デップ
赤の女王/ヘレナ・ボナム=カーター
白の女王/アン・ハサウェイ
ハートのジャック/クリスピン・グローヴァー
トウィードルダム/トウィードルディー/マット・ルーカス
声の出演:
芋虫のアブソレム/アラン・リックマン
白うさぎ/マイケル・シーン
チェシャ猫/スティーヴン・フライ
ベイヤード/ティモシー・スポール
三月うさぎ/ポール・ホワイトハウス
ヤマネ/バーバラ・ウィンザー
ドードー鳥/マイケル・ガフ
ジャバウォッキー/クリストファー・リー