お初にお目にかかります。
アニメのセリフから
お客様がお望みならどこでも駆けつけます。
自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。
シリーズ第10話のラスト1分30秒は涙腺が崩壊します。
神回とも言われる第10話ですが、このラスト1分30秒の場面が秀逸です。
そして、この泣ける場面は、それまでの9話があってこそ成り立つ場面です。
この1分30秒を見るために、このアニメはあります。
※本作を観られるサブスクなどの配信サービスは限定されています。
感想/コメント
ギルベルト少佐が最期に残した言葉「心から愛してる」の意味を知りたくて自動手記人形サービス(手紙の代筆)を始めるヴァイオレット・エヴァ―ガーデン。
アニメを見る前は、機械の手が見えたので、てっきりアンドロイドが人の心を理解していく話だと思っていました・・・。
機械の手は、戦争で両手を失ったヴァイオレットのために用意された、意のままに動かせる義手でした。
ヴァイオレットは、戦争孤児として拾われた少女でありながら、兵器として育てられ、戦地に送り込まれて多くの敵兵を斃していき、ある壮絶な戦いにおいて両手と大切な人を失うなど、なかなかハードな設定になっています。
第1話から第3話までは、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンが、自動手記人形としての仕事を始め、学校で学んでいく過程が描かれます。
軍隊的な報告文書は書けるものの、人の心情を汲み取った文章は全く書けないヴァイオレットは、人の心の難しさを知っていきます。
第3話で登場するルクリアは、この後もチョイ役で登場します。
第4話では同僚のアイリスの故郷に同行し、第5話では王国の姫の代筆を担当します。
ちょっと異質なのが第6話です。
それまで代筆をするという自動手記人形(ドール)本来の姿が描かれました。
しかし、第6話では天文台に大量のドールが集められ、大量の写本の手伝いをすることになり、代筆とは異なる仕事をこなすことになります。
ここで得た知識を、後に披露する場面があります。
第7話で敬愛するギルベルト少佐がすでに亡くなっているということを知り、ヴァイオレットは心を大きく乱します。
この辺りからヴァイオレットに人としての心が現れるようになってきます。
この第7話を踏まえた第8話と第9話では、ヴァイオレットがギルベルト少佐の所に来た経緯や、両手を失った戦いが描かれます。
ここまでの9話分で、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンの人となりが語られ、第10話の神回を迎えます。
第10話は最初から泣かせるための構成になっています。
不治の病を抱えた母と幼い娘アン。
見始めた瞬間から、悲劇が来るのが分かっています。
アンが母の死を予感して、最期の短い期間を1分でも1秒でも長く母と一緒にいたいという心からの叫びに、ウルっとする人は多いと思います。
ですが、本当に涙腺が崩壊するのは、全ての仕事を終えてC.H郵便社に戻ってきたヴァイオレットが同僚に話し始めてからです。
この場面における、全てのセリフ、表情は、涙なしには見ることができません。
幼い子が不幸になり、その後、一筋の光が見えるという設定は、泣かせるための典型的パターンで、そのパターンが踏襲された回でした。
第11話ではヴァイオレットは再び前線に向かいます。この第11話でも、最後の場面ではウルっときます。
第12話と第13話では、戦争終結に向けた和平交渉の仕事を引き受けます。
そして、ヴァイオレットは、少しだけ「愛してる」の意味が分かるようになり、アニメの全13話は終わります。
さて、ギルベルト少佐がヴァイオレットに言った「愛してる」については、家族愛と捉えるのか、恋慕として捉えるのか、どちらなのだろうか、という疑問がありました。
しかし、見始めた当初から、設定上どう考えても後者の色合いが強そうだなと感じていました。
ですが、この恋慕としての「愛している」であるとするなら、そもそもどうなのよ、と思いながら見ていました。
ですので、劇場版で描かれた内容には驚きはなかったのですが、終始、どうもねぇ、という気持ちが離れませんでした。
もちろん、家族愛の意味合いが全くないわけではないと思いますが、色合いとしては一貫して恋慕の色合いが強いものだと感じました。
もっとも、ヴァイオレットは愛してるの意味が分からないので、恋慕としては捉えておらず、様々な愛の形を知っていく中で、両方の意味で解釈していたのではないかと思いました。
アニメ13話が終わり、番外編では、オペラのセリフの仕事を引き受け、外伝では寄宿舎に泊まり込んで家庭教師として活躍します。
そして、劇場版の物語は予定調和で締めくくられます。
劇場版は、アニメを見た方向けのものになっていますので、劇場版だけを見ても面白くないと思います。
劇場版が公開された2020年は新型コロナの影が全世界を覆っていた時期でした。その中で、日本の映画史上最大のヒットとなる「鬼滅の刃 無限列車編」が公開されました。
「鬼滅の刃 無限列車編」は、まさに時代の雰囲気を象徴した作品でしたが、本作「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」も時代の雰囲気を反映した作品だと思います。
見る順番
シリーズ構成ですが、アニメ13話と、エクストラ1話、外伝1話、映画1話になっています。
アニメ見てからエクストラ、外伝、映画を観るのが普通ですが、エクストラが第4話と第5話の間の話ですので、時系列に並べなおすと、次の順番になります。
この順番で見るのも良いと思います。
なお、各話には基本的にサブタイトルがあります。
第1話(サブタイトル:「愛してる」と自動手記人形)
第2話(サブタイトル:「戻って来ない」)
第3話(サブタイトル:「あなたが、良き自動手記人形になりますように」)
第4話(サブタイトル:「君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ」)
番外編(サブタイトル:「きっと”愛”を知る日が来るのだろう」)
第5話(サブタイトル:「人を結ぶ手紙を書くのか?」)
第6話(サブタイトル:「どこかの星空の下で」)
第7話(サブタイトル:「 」)
第8話(サブタイトル:なし)
第9話(サブタイトル:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」)
第10話(サブタイトル:「愛する人は ずっと見守っている」)
第11話(サブタイトル:「もう、誰も死なせたくない」)
第12話(サブタイトル:なし)
第13話(サブタイトル:自動手記人形と「愛してる」)
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 –
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
映画情報(題名・監督・俳優など)
監督 / 石立太一
アニメーション制作 / 京都アニメーション
原作 / 暁佳奈
音楽 / Evan Call
声の出演
ヴァイオレット・エヴァーガーデン / 石川由依
クラウディア・ホッジンズ / 子安武人
ギルベルト・ブーゲンビリア / 浪川大輔
カトレア・ボードレール / 遠藤綾
ベネディクト・ブルー / 内山昂輝
エリカ・ブラウン / 茅原実里
アイリス・カナリー / 戸松遥
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