記事内に広告が含まれています

(映画)トロイ(2004年)の考察と感想とあらすじは?

この記事は約7分で読めます。

世界最大最古の歴史叙事詩、ホメロスの「イリアス」を映画化した作品です。

神話を描いた作品らしく映像は美しいものに仕上がっています。

すべては神話の中の話ですが、描かれているのは、生身の人間たちの愛憎であり名誉です。

感想/コメント

シュリーマンによるトロイ発掘

神話の世界を生身の人間の世界に描き直したのは、一つには、神話の世界の町であったはずのトロイ(ギリシア神話に登場する都市イリオスの別名)が、現実に存在したという事実かあるからでしょう。

シュリーマンによってトロイが発掘されたということは、ホメロスによって書かれた「イリアス」の世界も現実にあった可能性があります。

ならば、神話の英雄たちを生身の人間として描いてもおもしろいのではないでしょうか。

一騎討ちと木馬

映画の見所の一つはアキレスとヘクトルとの一騎打ちでしょう。

そして、もう一つの見所は”トロイの木馬”だと思います。

この木馬は、ギリシア軍の船を解体して作られており、一見して船の形を彷彿させてくれます。

挿絵等で描かれているような直線的な木馬ではありません。この映画の中の木馬の方が現実味があります。

ギリシア神話の英雄アキレス

さて、アキレスは、ギリシア神話に登場する英雄で、ホメロスの「イリアス」の主人公です。

英雄の構造についてはジョーセフ・キャンベルの「千の顔をもつ英雄」が参考になります。

プティア(プティーア)出身で、プティア王ペレウス(ペーレウス)と海の女神テティスとの間に生まれました。

足が速く、「イリアス」では「駿足のアキレス」などと形容されます。

テティスは、アキレスがトロイ戦争に加わると命を落とすことを予言しました。これは映画でも描かれているところです。

この後、テティスはアキレスをスキュロス島に送り、女の格好をさせます。

アキレスはここで、スキュロス王リュコメデスの娘デイダメイアとの間にネオプトレモスをもうけますが、ここは映画では割愛されています。

そこに、商人のなりをしたオデュッセウスが勧誘に来ました。オデュッセウスは女向けの商品に武器をまぜて展示しました。

女たちが見向きもしない中、アキレスだけが武器に手を出したため、正体をあばかれます。

そして、アキレスはトロイ戦争に引きずり出されてしまいます。この部分のいきさつは映画とは異なっています。

アキレスは、友人パトロクロスと共に、ミュルミドーン人たちを率いて50隻の船と共にトロイ戦争に参加しました。

トロイ戦争

ギリシア勢がトロイ戦争を開始してから十年目、ある事情により、戦利品で愛妾のブリセイスを総大将アガメムノンに奪われます。

理不尽な行為に腹をたてたアキレスは、それ以降戦いに参加しなくなります。

映画では短期間での戦いが描かれていますが、実際は十年かかる壮大な戦いだったのです。

アガメムノンの仕打ちに怒って戦いに参加しなくなったアキレス。このため、ギリシア勢は総崩れとなり、陣地の中にまで攻め込まれます。

これを見たパトロクロスは、ギリシア勢を助けてくれるようアキレスに頼みますが、アキレスは承知しません。

そこでパトロクロスはアキレスの鎧を借り、ミュルミドーン人たちを率いて出陣します。これに勇気を得たギリシア勢はトロイ勢を押し返します。

しかし、パトロクロスはトロイの王プリアモスの息子・ヘクトルに討たれ、アキレスの鎧も奪われてしまいます。

このあたりは映画と若干異なります。

アキレスの復讐

パトロクロスの死をアキレスは深く嘆き、復讐のために出陣することを決心します。

テティスはアキレスのために新しい鎧を用意し、アキレスに授けます。

出陣したアキレスは、トロイの名だたる勇士たちを葬り去ります。

トロイ勢が城内に逃げ去る中、門前に一人、ヘクトルが待ち構えていました。

このあたりも映画と若干異なりますが、大筋は押さえています。

アキレスはヘクトルを討ち、戦車の後ろにつなげて引きずりまわします。

ヘクトルの父プリアモスはこれを悲しみ、深夜アキレスのもとを訪れ、息子の遺体を返してくれるように頼みます。

アキレスはプリアモスをいたわり、ヘクトルの遺体を返します。

そして、ヘクトルの葬儀の記述をもって、ホメロスの「イリアス」は終わるのです。

トロイの劣勢

この後、アマゾーンの女王で、女神のごときペンテシレイアの加勢や、エチオピア勢を率いてきたメムノン(暁の女神エオスとティトノスの子)の加勢がありますがトロイの劣勢は変わりませんでした。

アキレスはトロイのスカイアイ門の前で戦いましたが、急所のアキレス腱をトロイの王子パリス(一説によるとアポロン)に射られ、瀕死の重傷を負って倒れてしまいます。

しかしアキレスは再び立ち上がり、トロイ勢を追い回します。

しかし予言通り、ついに死の運命が彼を捉えるのです。

この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

スパルタとトロイの同盟

ギリシアのスパルタとトロイの間に無血同盟が結ばれた。

スパルタのメネラウス王は、長年にわたる敵であるトロイの王子ヘクトルを和解の宴に招いた。

それを祝うための宴がスパルタで催されていた。

パリスとヘレンの恋

二人の指導者が長年続いた戦争と破壊の終結を祝った日の夜、ヘクトルの弟で数々の浮き名を流してきていたパリスは、メネラウスの妻ヘレンの寝室に忍び込んだ。

二人は出会った瞬間から、禁断の恋に落ちていた。そして、パリスは情熱のままに、ヘレンをメネラウスの宮殿から奪い去る。

トロイへの侵攻

トロイ侵攻の口実を得たギリシア王アガメムノンは、屈辱に燃える弟のスパルタ王メネラオスとともに、全ギリシアを挙げての進軍を開始する。

アキレスとアガメムノン

アガメムノンは、対トロイ戦争に参戦させるために、アキレスを呼び出す。

アキレスは、敵がその名を耳にしただけで恐怖に凍りつくといわれる無敵の戦士だった。

人々はアキレスの母親は女神であり、彼が母親から不死の力を与えられていると噂したほどだった。

だが、このアキレスとアガメムノンは不仲である。

ギリシア軍の上陸

千艘ものギリシア軍の船がトロイの海岸に上陸し、アキレスがその超人的な能力で攻勢をかけると、ギリシア軍はたちまち海岸を占領した。

ヘレンは、自分が幸福を手に入れた代償に心を痛めるが、どうすることもできない。

パリスの愛が彼女を支えていたが、パリスも自らが同胞にもたらした災厄に打ちひしがれていた。

アキレスとプリセウス

アキレスは、個人的な利得のためだけに行動するアガメムノンに対する軽蔑を隠そうとしない。

アキレスは自分以外の誰かのために戦うことはなかった。

トロイとの戦いはギリシア勢の思うようには進まなかった。

その中で、アキレスはブリセウスと出会う。プリセウスはヘクトルの従姉妹である。

アキレスの功績に対する戦利品として与えられたものだった。

アキレスを怒らせるアガメムノン

アガメムノンがアキレスへの怒りと嫉妬からブリセウスをさらってしまう。

激怒したアキレスは王のために戦うことを拒否する。

アキレスを欠いたギリシア軍は苦戦を強いられることになる。

映画情報(題名・監督・俳優など)

トロイ
2004

監督:ウォルフガング・ペーターゼン
製作:ゲイル・カッツ/ウォルフガング・ペーターゼン/ダイアナ・ラスバン/コリン・ウィルソン
製作総指揮:ブルース・バーマン
脚本:デヴィッド・ベニオフ
撮影:ロジャー・プラット
音楽:ガブリエル・ヤーレ
原作:ホメロス

出演:
アキレス/ブラッド・ピット
ヘクトル/エリック・バナ
パリス/オーランド・ブルーム
ヘレン/ダイアン・クルーガー
オデュッセウス/ショーン・ビーン
アガメムノン/ブライアン・コックス
プリアモス/ピーター・オトゥール
メネラウス/ブレンダン・グリーソン
テティス/ジュリー・クリスティ
ブリセイス/ローズ・バーン

2004年前後の興行収入ランキング

歴代の興行収入ランキング

  1. 日本歴代興行収入ランキング(Top100)
  2. 世界歴代興行収入ランキング(Top200)

2004年公開の映画

(映画)ナショナル・トレジャー1(2004年)の考察と感想とあらすじは?

歴史を覆す秘宝をめぐって繰り広げられる冒険アクション大作。歴史を覆す秘宝の重要なヒントとなるのがアメリカ独立宣言書。この中に巧妙に伝説の秘宝が隠されているという設定。

(映画)レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(2004年)の考察と感想とあらすじは?

幼いボードレール三姉弟妹をひたすら不運が襲う。救いのない悲惨で不幸が連続する映画なのかと思いきや、そうではない。三姉弟妹がたくましいのと、敵役のオラフ伯爵が何となく憎めない間抜けさを持ち合わせているためかもしれない。

(映画)ヴェニスの商人(2004年)の考察と感想とあらすじは?

シェイクスピアの書いた37の戯曲の中で最も人気が高い「ヴェニスの商人」。ラブストーリー、法廷劇、人種問題、復讐、偏見、友情などの諸々の要素を持つ作品。

(映画)ディープ ブルー(2004年)の考察と感想とあらすじは?
自然をテーマにした映像には自信を持って望んでいます。このDeep Blueからもその自信がうかがえます。そして、見事に期待を裏切らない映像を提供してくれています。
(映画)スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー(2004年)の考察と感想とあらすじは

応答せよ。スカイキャプテン、応答せよ!!こういったレトロ・フューチャー、スチームパンクというのはアドベンチャー物にとてもマッチする。個人的に好きなジャンルである。

(映画)スチームボーイ(2004年)の考察と感想とあらすじは

スチームボールというエネルギーの塊を使って、どんな発明が!?とわくわくしながら見ていたら、えぇっ??巨大な建物が動くだけ?

(映画)ハウルの動く城(2004年)の考察と感想とあらすじは

魔法と科学が混在するファンタジーな世界を画いているのだが、舞台となる世界では戦争が間近に迫っている。愛国主義がはびこっているという設定は生々しい。この映画のテーマは戦争の愚かさであり、絆や信頼関係、そしてを愛といった所だろう。

(映画)スウィングガールズ(2004年)の考察と感想とあらすじは?

徐々に上手になっていくのは正にリアル。何とか音が出せて、何とかメロディラインを追いかけていけるようになっていった前半部分。それと対比して、最後のシーンでの演奏は格段の進歩。短期間でよくできました♪

(映画)キング・アーサー(2004年)の考察と感想とあらすじは?

中世の物語を想像して映画を見てしまうと、いきなり面食らってしまう。また、「アーサー王と円卓の騎士達」の中で繰り広げられる魔法の世界を思い浮かべながら映画を見てしまってもいけない。

(映画)隠し剣鬼の爪(2004年)の考察と感想とあらすじは?
山田洋次監督による藤沢周平作品の映画化第2弾です。原作は藤沢周平の「隠し剣鬼ノ爪」「雪明かり」。前作『たそがれ清兵衛』に比べると、配役が日本の時代小説を舞台にした映画にマッチしている感じがあります。
(映画)LOVERS(2004年)の考察と感想とあらすじは?

世界各国で大ヒットした「HERO」のチャン・イーモウ監督が、金城武、チャン・ツィイー、アンディ・ラウというアジアのスターを起用した武侠アクション。

(映画)オペラ座の怪人(2004年)の考察と感想とあらすじは

最初に流れる曲はあまりにも有名で、一度は聞いたことがあるはずである。「オペラ座の怪人」は、1909年にフランスの作家ガストン・ルルーが発表した小説で、これを原作として数多くの映画、ミュージカルが作られている。

(映画)ヴァン・ヘルシング(2004年)の考察と感想とあらすじは?

ヴァン・ヘルシングはブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」の登場人物。映画の世界ではドラキュラの天敵として描かれ、ヴァンパイア研究を続けてきた老教授として描かれることが多かった。

(映画)ポーラー・エクスプレス(2004年)の考察と感想とあらすじは

クリスマスを題材にしたアニメ作品。モーションキャプチャをつかって俳優の動き・表情をアニメ化している。声を担当しているトム・ハンクスをはじめとする俳優が何役もこなしたようだ。だが、少々リアルに過ぎるので、正直気持ち悪い。子供向けというのには・・・少々・・・

(映画)嗤う伊右衛門(2004年)の考察と感想とあらすじは?
原作の出来が良すぎます。「・・・ぴちゃーん・・・(静寂)」といった、効果音が似合う原作に比べると、明るすぎます。もっと闇が欲しかった映画です。原作では、かなり閉鎖的な、それこそ部屋しか登場しないのではないかという印象を受けますが、外の風景が多く出ているのも予想外でした。
(映画)ロング・エンゲージメント(2004年)の考察と感想とあらすじは?

ミステリー仕立てで、長い映画(133分)なのですが、緻密に組み立てられた場面場面には無駄なものが無く、細密な時計の内部を見ているような感じです。

(映画)オーシャンズ12(2004年)の考察と感想とあらすじは?

舞台をラスベガスからヨーロッパのアムステルダム、モンテカルロ、コモ湖、ローマ、シチリア島と移動し、ちょっとした旅行気分を味わえる。映画はドタバタ系の半分コメディタッチ。

(映画)アレキサンダー(2004年)の考察と感想とあらすじは?

映画は語り手としてプトレマイオス(アンソニー・ホプキンス)の回想録という形で始まり、終わる形式をとっている。この設定自体が悪いのかもしれない。

(映画)リバティーン(2004年)の考察と感想とあらすじは?

映画冒頭でロチェスター伯爵が独白する部分から、妙に惹きつけられるのがこの映画。『初めに断っておく。諸君は私を好きになるまい。男は嫉妬し、女は拒絶し、物語が進むにつれてどんどん私を嫌いになる。』

(映画)ハリー・ポッター3/ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年)の考察と感想とあらすじは?

前作までの監督がホームドラマチックな、いわゆる子供受けしそうな作りだったのに対して、ある程度成長してきた主人公にあわせるように、多少暗い雰囲気も映画の中に盛り込まれるようになってきた。

タイトルとURLをコピーしました