このアルバム
トランスのコンピレーションではない。
字は異なるが発音は同じの、”またがる””横切って”という意味合いの接頭語”Trans”に引っかけた名前ではないだろうか。
そうなら、”地球をまたがる”音楽を集めたコンピレーション・シリーズということになる。
まさに、こうした世界中を股にかけた音楽を集めたコンピレーションなのである。もっとも、中近東やインドの音楽が多いのだが…
収録されている楽曲もレベルが高い。
個人的に知っているアーティストといえば、1曲目のTalvin Singhくらいだが、他のアーティストの実力も相当なものである。
1曲目から4曲目は中東からインドの音。5曲目がケルト系統。6曲目がハンガリーとなり、ヨーロッパ系統の音になる。10曲目で再び中東風に。
題名が悪かったのか（そりゃそうだろう、題名を見たら、トランスのコンピレーションだとおもってしまう。しかも、ジャケットからはゴア系統、サイケ系統か？と思ってしまう。）、このシリーズはこの後のTrance Planet 6が出て以来、リリースがない。当然入手しにくくなっている。
1曲目：エイジアン・マッシブのアーティストの中で最も忙しいアーティストの一人。インドの楽器タブラーの奏者として一流の腕を持ち、それに現代的なプログラムの腕も兼ね備えている。この曲もそうした彼の技術が詰め込まれている。女性ボーカルの、いかにもインディな感じに、現代的なクラブ・ミュージックが融合しているのはさすがである。
2曲目：たゆまなく流れる大河のようにゆったりとしたボーカル。トルコのイスタンブールでレコーディングされたようだ。
この曲は、幅広く他のコンピレーションでも収録されていてもよさそうな感じがするのだが…
3曲目：インドの楽器bansurai（インドの竹笛）が効果的な雰囲気をかもし出している。
4曲目：イタリアを拠点にした、クルド系のアーティストを中心として、インド、イタリア、アルジェリアのアーティストのグループ。
5曲目：Aoifeは”EE-tha”と発音するそうだ。ケルティックな雰囲気を持つ曲で、エンヤやクラナドが好きな人にはオススメ。
6曲目：ハンガリーのブダペスト出身のアーティスト。優雅な感じもするメロディラインの後ろで、音の割れたサンプリングとは面白い。
8曲目：地中海のサルディニア島出身の女性ボーカリスト。ポルトガルのファドに近い雰囲気でなくもない。牧歌的ともいえるほどの素朴な曲である。
9曲目：フランスのケルティックミュージシャンとしてスタートしたアーティスト。その後、アラビックとフラメンコに移行したようである。この曲は、そうしたアラビックとフラメンコの両面が出ている。
10曲目：モロッコのアーティスト。伝統的なモロッコの音楽に、アラビック・アンダルシアンのスタイルを持ち込んだものだそうだ。
11曲目：アフリカ出身のアーティストのようだが、クラシックの素養があるようで、重厚なメロディラインを奏でている。
12曲目：インドに始まりインドに終わる。最後もインディな曲だが、ヴァイオリンを取り入れている点が面白いかもしれない。
曲目
Trance Planet 5
2000
compiled by –
label : Triloka
artist / title
1. Talvin Singh / Joan
2. Vision II-Spirit of Rumi (Graeme Revell) / Don’t Go Back to Sleep (Reprise)
3. Jon Wubbenhorst / No Mind
4. The Third Planet / Baaran
5. Aoife Ni Fhearraigh / Seacht Suailci Na Maighdine Muire
6. Istvan Marta featuring Marta Sebestyen / Church
7. Jeff Rona (with Dr. Fiorella Terenzi) / Musica Estrella
8. Eleba Ledda / Anninnare
9. Thierry Robin / Ricsi, Kicsi, Kem
10. Amina Alaoui / Amours Ou Trop Tard Me Suis Pris
11. Tunde Jegede / Song of the Waterfall
12. M Path / Longing
アルバムの評価
★★★★★★★★☆☆
【評価の内訳】4.3
【構成・バランス】A＝2
【飽きのこなさ】A=2
【曲の好み】Av.0.3
Aランク：-
Bランク：1曲目、2曲目、3曲目、5曲目
