このアルバム
1980年代にイギリスBBC放送局で放映されたテレビシリーズのサウンドトラックとして制作されました。
1987年にデビュー作としてリリースされましたが、当時はまったく注目を浴びませんでした。
翌年リリースされ、ヨーロッパで一大センセーションを巻き起こした「Watermark」により、再度注目が集まった作品です。
しかし、「Watermark」以降のヒットの連発で、Enyaの作品の中では忘れかけられている1枚になっています。
エンヤ得意の多重録音はないものの、その根底に流れるスピリット、そして自身のアイデンティティであるケルト文化への畏敬というものは前面に出されています。
この後のEnyaの方向性がこの1枚にしっかりと現れています。
また、シンセの音色などでも、後年使用するのと同じ様な柔らかな音色が垣間見えます。
ただ、後年の音楽性とは若干異なるパートが散見されます。
もともとがエンヤ独自のアルバムではなく、サウンドトラックだったために、彼女の意向だけで作成されなかったという一面があるのでしょう。
トータルで40分強という短い中に15曲も詰め込まれているので、1曲あたりが短いです。
ですが、エンヤのファンなら外せない一枚でしょう。
※この系統の音楽で他のアーティストを探したい場合は「美しき曲たち ワールドでファンタジックな音色」が多少なりとも参考になると思います。
曲目
Enya
1986
Album title
“The Celts”
Label : Warner Music UK
1 The Celts
2 Aldebaran
3 I Want Tomorrow
4 March of the Celts
5 Deireadh an Tuath
6 Sun in the Stream
7 To Go Beyond (I)
8 Fairytale
9 Epona
10 Triad: St. Patrick/Cu Chulainn/Oisin
11 Portrait (Out of the Blue)
12 Boadicea
13 Bard Dance
14 Dan y Dwr
15 To Go Beyond (II)
Enya(エンヤ)プロフィール
Enya、1961年5月17日生まれ。本名をEithne Ni Bhraonain または Enya Brennanといいます。
アイルランドの北部に生まれた彼女の家は音楽一家でした。Enyaはピアノを身につけ、クラシック音楽を学びます。
18歳のとき彼女の姉、兄らが1970年代に結成したClannad(クラナド)に参加しています。
Clannadには長姉のモイア・ブレナンがおり、Enyaが抜けた後、Theme From Harry’s Gameがヒットしました。(ClannadのGreatest Hitsにも収録されています。)
Enyaは、Clannad脱退後、Nicky Ryan(ニッキー・ライアン)と、彼の妻Roma Ryan(ローマ・ライアン)と共に音楽作りを始めます。
イギリスのBBCのテレビドキュメンタリー番組「The Celts」のためのサウンドトラックを制作し、1987年「Celts」でソロ・デビュー。
1988年に、アルバム「Watermark」からのシングルカット「Orinoco Flow」がヨーロッパでセンセーショナルを巻き起こしました。
同時にアルバム「Watermark」もヒットする。この一枚でEnyaの事実上の地位が確立されました。
これ以降、彼女のリリース期間が長いのは、彼女の完璧主義もありますが、商業的に急いでリリースする必要がない、Enyaの不動の地位があるためでしょう。
- Enya (1987) (reissued in 1992 as The Celts) 本作
- Watermark (1988)
- Shepherd Moons (1991)
- The Memory of Trees (1995)
- A Day Without Rain (2000)
- Amarantine (2005)
- And Winter Came… (2008)
- Dark Sky Island (2015)
1987年の他のアルバム