このアルバム
1曲目が美しい。ストリング・アンサンブルの繊細な音色と、重いダウンビートというのは何故かくも合うのだろうか?
一種の退廃的な雰囲気を感じさせるというのは、トリップ・ホップに通じる部分もある。かといって、悲壮的すぎないで凛とした強さを感じさせるのは、またトリップ・ホップとは違うものを感じさせる。
この1曲目の美しさに比べると、2曲目、3曲目、4曲目と段々と攻撃的になっていく。
そして、5曲目で再びストリングス系へと戻る。
全体として女性ボーカルものが多く、ブラックテイストの強い感じとなっている。
ボーカルは飛び出す使い方をしておらず、「楽器」のひとつとして使われているようである。やっぱり、こういう使い方をしなきゃ。
複雑に刻まれサンプリングされている生ドラムやパーカッションの奏でるビートは彼らのDrum’n’Bassで培われた技術というのが詰まっている。
音もスモーキーな感じがするのだが、意外とクリアに整形されているので、ひとつひとつの曲は意外とオシャレな感じだ。
音の感じもジャズからラテン、11曲目のように東洋系のメロディラインに男性MCを重ねるという変わった楽曲まで幅が広い。幅は広いが、アルバムを通しての全体のベースとなるのはジャズテイストである。
13曲目の「Les Fleur」はMinnie Ripertonのカバー。オリジナルは知らないが、ボーカル部分はほとんどそのまま使っているような気がするし、バックのいくつかはオリジナルをそのまま使用して、ベースラインなど数パートだけ付け加えただけのような気がしないでもない。
オリジナルがよい曲のためだろう、イイ感じですよ。この曲が好きな人は多いような気がする。
14曲目も悪くはないのだが…頼むからボーカルを女性ボーカルに変えてくれ。バックの繊細な音に全然マッチングしないので、気色悪い。ボーカルを女性に変えるだけで、全然雰囲気が変わる曲だ。
今回はジル・スコット、ロイ・エアーズ、マーク・マーフィー、テリー・キャリアー等、豪華ゲスト陣を迎えている。
1曲目がServe Chilled 59に収録されている。
※この系統の音楽で他のアーティストを探したい場合は「チルアウトとラウンジとは」が多少なりとも参考になると思います。
曲目
4 hero
Creating Patterns
2001
label : Universal
1 Conceptions
2 Time
3 Golden Solitude
4 Twothesme
5 Another Day with Jill Scott
6 Hold It Down
7 Unique with Patricia Marxx
8 Something Nothing
9 Ways Of Thought
10 Eight
11 Twelve Tribes with Mark Murphy
12 2-BS-74638
13 Les Fleur
14 The Day Ot The Greys with Terry Callier
15 2000 Black with Roy Ayers
16 B-Side-Track
アルバムの評価
★★★★★★★☆☆☆
【評価の内訳】3.6
【構成・バランス】A=2
【飽きのこなさ】B=1.5
【曲の好み】Av.0.1
Aランク:-
Bランク:1曲目、13曲目
4 hero(4ヒーロー):
マーク・マックことマーク・クレアー、ディーゴことデニス・マクファーレンの2人組のプロデュース・チーム。共にジャマイカ、トリニダード他、旧英領西インド諸島出身の二世である。十代前半で経験したヒップホップを原点にもつ。これにジャズやファンク、ソウルなどブラック・ミュージックの影響を受けながら育つ。
ジャングル、ドラムンベースのミュージックシーンにおいて、初期から活動するアーティストの一組。
2001年の他のアルバム