六道輪廻をそのまま描いているのでしょうか…。
六道の世界に生と死を何度も繰り返して、さまよい続けるのが、六道輪廻です。最後はそこからの解脱になります。
六つの世界つまりは、六道である地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上を生きることです。
この六道を転生しているのがトム・ハンクス演じる役たちではないでしょうか。例えば次のようになるのと仮定したら。
地獄:ドクター・ヘンリー・グース
餓鬼:安ホテルの支配人
畜生:アイザック・サックス
修羅:ダーモット・ホギンズ
人間:『カベンディッシュの大災難』の主演俳優
天上:ザックリー
この男の転生の話に一神教的な救世主の話が織り交ざり、最後は、約束の地へと飛び立っていきます。つまりは、ノアの方舟によって救われていくのです。
転生を繰り返した男は、ついに解脱したのです。
こうした男の転生を描く一方で、救世主であるソンミを単なる悲劇の女性としてとらえようとする女が登場します。
前者の宗教を信じる男は、遅れた文明を持つ人間として描かれ、後者の合理的な女は先進的な文明の持ち主として描かれています。
ですが、最後は、この二つが融合するという格好になっているところが興味深いです。
そして、二人ははるか昔から、常にクロスする人生を重ねてきました。
このクロスする人生を歩んできた二人に対して、時を越えて愛し合っている二人の男女の姿も描かれています。
この二人は愛の結びつきだけでなく、その生きた時代において、革命家であり続けています。それは信念の愛といえるのかもしれません。奴隷解放に挑み、未来においても革命家でした。
この映画は、観客に様々な解釈を要求します。
どれが正解というものでもありません。あくまでもその時に見たインスピレーションで判断を強いられるのです。
それゆえ、この映画は複数回見ても、新たな発見があるでしょう。
興業的には失敗の映画でした。
ですが、あの「ブレードランナー」もそうでした。のちに「ブレードランナー」は名作と言われるようになります。
「ブレードランナー」は音楽もよかったです。色あせない音楽です。このクラウド アトラスの音楽も悪くありません。
この映画は第二の「ブレードランナー」になるでしょうか?
あとはカルトマニアが出るかだけです…。
映画では役者が複数役を演じています。
例えば、次のような感じです。
ハル・ベリー
農園で働くマオリ族、ジョカスタ・エアズ/ルイサ・レイ/出版パーティーのインド人女性客/ソンミの首輪を外す闇医者オビッド/メロニム
ジム・ブロードベント
モリヌー船長/ビビアン・エアズ/ティモシー・カベンディッシュ/路上の二胡弾き/プレシエント族
ヒューゴ・ウィーヴィング
ハスケル・ムーア/指揮者ケッスルリング/殺し屋ビル・スモーク/女看護師ノークス/メフィー評議員/オールド・ジョージー
ジム・スタージェス
アダム・ユーイング/安ホテルを追い出される客/メーガン(シックススミスの姪)の父親(写真)/スコットランド人のサッカーファン/ヘジュ・チャン/ザックリーの義弟アダム
ペ・ドゥナ
ティルダ/メーガン(シックススミスの姪)の母親(写真)/違法工場のメキシコ人女性/ソンミ451/ソンミ351/売春婦ソンミ
ベン・ウィショー
船の給仕係/ロバート・フロビシャー/レコード店店員/デニーの妻ジョージェット/部族の男
ジェームズ・ダーシー
若きルーファス・シックススミス/老年のルーファス・シックススミス/施設の看護師ジェイムズ/記録官
ジョウ・シュン
死体を発見する男性ホテル従業員/ユナ939/ザックリーの妹ローズ
キース・デヴィッド
召使いクパカ、ジョーネピア/アンコー・アピス将軍/プレシエント族
デヴィッド・ジャーシー
オトゥア/ルイサの父レスター(写真)/プレシエント族のデュオファイサイト
スーザン・サランドン
ホロックスの妻、アーシュラ/男性科学者ユースフ・スレイマン/アベス
ヒュー・グラント
ホロックス牧師/高級ホテルの警備員/ロイド・フックス/デニー・カベンディッシュ、リー師/コナ族のチーフ
映画情報(題名・監督・俳優など)
クラウド アトラス
(2012年)
監督:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー
原作:デイヴィッド・ミッチェル
音楽:トム・ティクヴァ、ジョニー・クリメック、ラインホルト・ハイル