ボクシングをテーマとした映画で、映画は実在のプロボクサー、ジェイク・ラモッタを主人公としています。
アメリカでは評価の高い映画ですが、なぜ評価が高いのかがわかりませんでした。
文化の違いなのでしょうか、それともボクシングに対する人気の違いによるものなのでしょうか。
ボクシング映画といえば、ロッキー(1976年)の方が人気かもしれません。
感想/コメント
デ・ニーロ・アプローチ
主演のロバート・デ・ニーロは、徹底した役作りをこの映画で行いました。
その姿勢は「デ・ニーロ・アプローチ」と呼ばれ、第53回アカデミー主演男優賞を初めとした多くの映画賞を獲得しました。
映画の大半は鍛え上げられた肉体。ミドル級チャンピオンまで上り詰めた肉体を披露しました。
そして、それとは著しいギャップのある肥満体型を見せました。
引退後の肥満体型のために数か月かけて体重を27kg増量したそうです。
カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲
オープニングが美しい映画とも言われますが、効果的に使われているのが音楽です。
最初と最後に印象的に使われるテーマ曲は「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」。
有名な曲ですので、聞いたことのある人も多いでしょう。
ラストの字幕
最後のテロップで流れるのは「新約聖書 ヨハネによる福音書」の一節。第9章24-26。
すべてを失ったジェイク・ラモッタがたどり着いた境地を現しているということでしょうか…。
さて、彼ら(パリサイ人たち)は、盲人であった人をもう一度呼んで言った、「神の前で正直に答えなさい。あの者が罪人であることは、わたしたちにはわかっているのだ」。
すると彼は答えた、「あの方が罪人であるかどうか、わたしには分かりません。ただ一つ知っているのは、わたしは目が見えなかったが、今は見えるということです」。
あらすじ/ストーリー
1964年
世界ミドル級王者だったジェイク・ラモッタはクラブのコメディアンをしていた。
1941年
デビュー以来無敗を誇っていたジェイクはジミー・リーブスに負けた。7回のダウンを奪ったにもかかわらず、相手に有利な判定で敗れたのだ。マネージャーである弟・ジョーイや妻に当たり散らした。
ジェイクはジョーイと一緒に市営のプールでくつろいでいた。そこで見かけたのがブロンドの少女・ビッキーだった。ジェイクはビッキーに一目ぼれした。
1943年
ジェイクは拳聖シュガー・レイ・ロビンソンに勝つが、3週間後のリターン・マッチで負けた。またしても不利な判定に屈したのだ。
ロビンソンは陸軍に入隊を控えていた。そのことが判定に影響したのではないかとジェイクは考えた。
1947年
ジェイクは前妻と離婚し、ビッキーと結婚した。
ジェイクは嫉妬がひどい。次の対戦相手であるトニー・ジャニロをビッキーが褒めたため、ジェイクは必要以上にパンチを浴びせた。その後、余りの嫉妬の激しさに、ビッキーはジョーイに離婚を相談した。
タイトルマッチに恵まれないジェイクは、タイトルマッチを組んでもらうために、顔役のトミーの誘惑を承諾した。
長らく彼の誘いを拒み続けていたジェイクであったが、タイトルマッチの誘惑に負けたのだ。格下の相手に負けねばならない八百長試合だった。
それがあからさまだったため出場停止になってしまったが、念願のタイトルマッチが認められた。
1949年
タイトルマッチの相手はマルセル・セルダン。ジェイクはマルセル・セルダをTKOで決め、ミドル級のチャンピオンとなった。
1950年
家でジェイクはジョーイに、ビッキーのことをしつこく聞いた。また悪い癖が出たとジョーイは相手にしなかった。ビッキーへの強い猜疑心が彼を破滅へ導き始めていた。
ジェイクはビッキーを問い詰め、頭に来たビッキーがあらぬことを口走った。ジェイクはジョーイの家にゆき、ジョーイを叩きのめしてしまう。
ジョーイがジェイクの元から去ってしまった。その後、ジェイクはタイトル戦に敗退し、ボクシングから引退した。
ジェイクはマイアミに移住してナイトクラブを経営し始めた。このころには愛想をつかしていたビッキーはジェイクに三下り半を突き付けた。二人は離婚した。
ある日、警察に連行された。幼女の売春を斡旋した罪で実刑を受けた。
1958年
ニューヨークでジェイクはナイトクラブで仕事をしていた。
ある日の仕事帰り、偶然にもジョーイを見かけたジェイクは、ジョーイに許しを請うたが、相手にされなかった。
映画情報(題名・監督・俳優など)
レイジング・ブル
(1980年)
監督:マーティン・スコセッシ
製作:アーウィン・ウィンクラー,ロバート・チャートフ
原作:ジェイク・ラモッタ
脚本:ポール・シュレイダー,マーディク・マーティン
撮影:マイケル・チャップマン
編集:セルマ・スクーンメイカー
音楽:レス・ラザロビッツ
出演:
ロバート・デ・ニーロ/ジェイク・ラモッタ
キャシー・モリアーティ/ビッキー・ラモッタ
ジョー・ペシ/ジョーイ・ラモッタ
映画賞など
アカデミー賞
- 主演男優賞
- 編集賞
全米映画批評家協会賞
- 監督賞
- 助演男優賞
- 撮影賞
ニューヨーク映画批評家協会賞
- 男優賞
- 助演男優賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞
- 作品賞
- 男優賞
英国アカデミー賞
- 編集賞
- 新人賞
ゴールデングローブ賞
- 主演男優賞 (ドラマ部門)
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