1922年に書かれたF・スコット・フィッツジェラルドによる短編小説が原作となっています。
フィッツジェラルドは「グレート・ギャツビー」などを書いた「失われた世代」を代表する作家のひとりです。
映画の中で「永遠てないんだな」という趣旨のセリフがたびたび登場します。この映画を端的に表しているわけではないですが、映画の一部分を表現した印象的なセリフです。
そもそも、人間は生まれた瞬間から死に向かって生きていく運命にあります。ただ、それを意識しながら生きてはいません。
主人公のベンジャミンは生まれたときには既に80歳の老人の肉体でした。
年を取るにつれ、肉体は若返っていきます。このことについて、どう思うかと聞かれて「わからない」と返事をした彼の心情はどのようなものだったのでしょう。
我々が、年を取るにつれ、肉体が衰えていくことについて、どのように思うか、と聞かれたときを思えばよいのかもしれません。何の感慨もないのではないかと思います。
印象的といえば、最後の老女と幼子が手をつなぎながら歩いているシーンです。最も印象的でした。あのシーンはいいシーンだ。
再びこの映画を見るときは、このシーンのために見ることにしようと思います。
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
ベンジャミン0歳
ハリケーンが近づく病院。
老女は娘に向かって日記を読んでくれるように頼んだ。それは、ベンジャミン・バトンという人物が書いたものだった。
ベンジャミン・バトンは1918年、ニューオリンズで生まれた。
生まれると同時に母は死に、父はあまりにも醜く生まれた赤ん坊を老人養護施設に捨てた。
赤ん坊を拾ったのは施設の黒人の介護士であるクイニーだった。
彼女は、その赤ん坊をベンジャミンと名付け、自分の子供として育てることを決める。
赤ん坊を医師に診てもらうと、80歳位の老人の肉体であると告げられる。生まれながらにしての老体だというのだ。
ベンジャミン12歳。
施設の入居者の孫娘であるデイジーと出会った。まさに運命の出会いだった。
6歳のデイジーは、老いた子供であるベンジャミンに親しみを感じた。
ベンジャミンは船で働きはじめる。そして、女と酒の味を覚える。
同じころ、ボタン工場のオーナーのトーマス・バトンと知り合う。
1936年。ベンジャミン18歳。
施設を出て、マイク船長とともに様々な国をまわった。そして、恋を知った。時代は第二次世界大戦。その戦火もくぐり抜けた。
1945年。ベンジャミン26歳。
施設に戻ったベンジャミンは、成長してバレエダンサーとなったデイジーに再会する。デイジーに思いを寄せるベンジャミンだが、彼女はバレエに夢中だった。
パリ。
デイジーが交通事故に遭い、ダンサー生命を絶たれた。
その後、二人は結ばれる。二人の間に娘が産まれた。
だが、ベンジャミンは苦悩する。それは、年を取るにつれ肉体は若返っていく自分が娘を育てられるのか…。娘には、年相応に肉体が衰えていく普通の父親が必要なのではないか…。
父から受け継いだボタン工場などを売ったベンジャミンは、デイジーと娘に財産を残して放浪の旅に出る。
旅先から娘に向けてハガキを出し続けていた。
デイジーの晩年。
外見は少年ながら、内面は老人になり果てたベンジャミンが戻ってきた。その彼を見守るのは、夫を亡くしたデイジーだった。
ベンジャミンの肉体は若返っていき、赤ん坊の姿となって…。
映画情報(題名・監督・俳優など)
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
(2008年)
監督:デヴィッド・フィンチャー
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:
ベンジャミン・バトン/ブラッド・ピット
デイジー/ケイト・ブランシェット
エリザベス・アボット/ティルダ・スウィントン
トーマス・バトン/ジェイソン・フレミング
ガトー/イライアス・コティーズ
キャロライン/ジュリア・オーモンド
デイジー(幼少期)/エル・ファニング
クイニー/タラジ・P・ヘンソン
ドロシー・ベイカー/フォーン・A・チェンバーズ
キャロライン・バトン/ジョーアンナ・セイラー
ティジー/マハーシャラルハズバズ・アリ
マイク船長/ジャレッド・ハリス
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