監督は宮崎駿ではないですが、全体感はやはり宮崎アニメです。映画のメッセージもやはりそうです。
宮崎アニメは年月を経るごとにシンプルなものへと昇華しつつある気がします。
初期の頃のように、目まぐるしくストーリーが展開されていくわけではなく、ただ淡々と日常的な風景を描き始めてきている気がするのです。
「人間と小人、どちらが滅びゆく種族なのか」
それは、「人間と自然、どちらがさきに滅びゆくのか」と同義語です。
コメント
小さな神や精霊、妖精の伝承
世界各地に人間に近い姿の小さな神や精霊、妖精の伝承が残っています。
日本神話であれば、オオクニヌシとともに国造りに貢献したスクナビコナがおり、説話に出てくるものとしては一寸法師やかぐや姫が有名でしょう。アイヌ神話にはコロポックルもいます。
東洋では、古代中国の伝説上の異国のひとつとして小人国あるいは小人島があり、そこには小人(しょうじん)が住んでいるとされます。
西洋では「グリム童話」などにドワーフが登場すしますし、スウィフトの「ガリヴァー旅行記」には小人の国「リリパット」(Lilliput)が登場します。
こうした中で本作のイメージに近いのが、「小妖精」としてイメージ化されているフェアリーでしょうが、「小妖精」というと、ピーター・パンのティンカー・ベルのような羽が付いている妖精が一般的だろうと思います…。
原作
メアリー・ノートンの著書「床下の小人たち」が原作となっています。
「小人の冒険シリーズ」(原題:The Borrowers)は、人間からものを借りることでひっそりと暮らしていた小人の冒険を描いたシリーズで、全5作が発表されました。日本では岩波少年文庫から発刊されました。
- 床下の小人たち(1952)
- 野に出た小人たち(1955)
- 川をくだる小人たち(1959)
- 空をとぶ小人たち(1961)
- 小人たちの新しい家(1982)
モデルとなった場所
映画に登場する和洋折衷の屋敷や庭園は、青森県平川市の国指定名勝の盛美園がモデルです。
清藤盛美が9年の歳月をかけて作ったもので、武学流庭園の最高峰ともいわれます。
他に登場するのが、小金井市にある「野川」と「はけの小路」。
映画に登場した橋は「天神橋」。「はけの小路」は、アリエッティの家族がヤカンに乗って船出をするシーンに使われています。
テーマ曲
Cecile Corbel ( セシル・コルベル )が歌うテーマ曲のArrietty’s Songがよいです。
歌詞
I’m 14 years old, I’m pretty
元気な 小さい Lady
床下に ずっと 借りぐらししてたの時にはHappy, 時にはBlue,
誰かに会いたい風 髪に感じて 空を眺めたい
あなたに花 届けたい向こうは別の世界
ほら蝶々が舞ってる 私を待っているそう、変わることのない わたしの小さい世界
嫌いじゃないの でもあなたを
もっと もっと知りたくて喜びと悲しみは いつも 折り混ざってゆく
風 髪に感じて 空を眺めたい
あなたに花 届けたい向こうは別の世界
ほら蝶々が舞ってる あなたを待っている太陽の下で 花に囲まれて
あなたと日々 過ごしたい
この想いを胸に 新しい世界で
私らしく 生きる
宮崎駿関係アニメ(一部)
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
とある郊外に荒れた庭のある広大な古い屋敷があった。
療養のために一人の少年が訪れた。
12歳の少年・翔はそこである影を見たような気がした…。
屋敷の床下には、小人が住んでいた。
14歳の少女アリエッティと、父ポッド、母ホミリーの3人家族だ。
彼らは「借りぐらし」。屋敷の床上に住むふたりの老婦人、女主人の貞子とお手伝いのハルに気づかれないように、少しずつ、石けんやクッキーやお砂糖、電気やガスなど、自分たちの暮らしに必要なモノを、必要な分だけ借りて来て暮らしていた。
人間に見られてはいけない。見られたからには、引っ越さないといけない。
それが借りぐらしの掟だ。だが、アリエッティは翔に姿を見られてしまう。
「おまえは、家族を危険にさらしているんだぞ」
アリエッティは、父に反発する。
「人間がみんなそんなに危険だとは思わないわ」
アリエッティは、生来の好奇心と向こう見ずな性格も手伝って、次第に翔に近づいて行く。
アリエッティの家族に大きな事件が迫っていた。
映画情報(題名・監督・俳優など)
借りぐらしのアリエッティ
(2010年)
監督: 米林宏昌
プロデューサー: 鈴木敏夫
企画: 宮崎駿
原作: メアリー・ノートン『床下の小人たち』
脚本: 宮崎駿、丹羽圭子
音楽: セシル・コルベル
主題歌: セシル・コルベル 『Arrietty’s Song』
声の出演:
アリエッティ/志田未来
翔/神木隆之介
ホミリー/大竹しのぶ
貞子/竹下景子
スピラー/藤原竜也
ポッド/三浦友和
ハル/樹木希林
ジブリ音楽の紹介
ジブリの音楽はオリジナルもよいが、リミックス曲も結構いい。