宣伝がコメディを前面に出したものだったので、どんな感じかと思っていましたが、思った以上に真面目な作りでした。
もちろん、ありえない筋立てですが、コメディというよりは、エンターテインメントとして楽しめる内容でした。
なんちゃって時代劇ではありますが、まぁ、面白ければいいじゃないですか。
参勤交代
参勤交代の最大の功績はお金を使わせて各藩の財力をそぎ、幕府にたてつく力をなくすことでした。
これがとても有効だったのは、大陸(中国・朝鮮)との密貿易ができなかった北日本の大名でした。
幕末を見ればわかるが、西の諸藩は密貿易によって力を蓄え、幕府転覆につなげました。
対して、北の諸藩は財力がなく、幕府の解体と一緒に、瓦解していきます。
興味深いことに、北の諸藩は親幕府で、西は反幕府でした。
幕府は早々に西の大名家のお国替えをすべきだったのです。
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
江戸時代。享保20年(1735年)。
八代将軍・徳川吉宗の治世。
磐城国の小藩・湯長谷藩(石高1万5,000石)の藩主・内藤政醇は、1年間の江戸での勤めを終えて湯長谷に帰国した。
久しぶりの国元の様子に満足げな内藤政醇。
しかし、帰ってきたばかりのところ、江戸屋敷に居るはずの江戸家老・瀬川が現れた。
なんと、江戸幕府老中・松平信祝が帰国を果たしたばかりの政醇に対し、「5日のうちに再び参勤交代せよ」というのだった。
信祝は湯長谷藩が所有する金山に目をつけていた。
金山からは金が出なかったのだが、信祝は金山を手に入れようと無理難題をふっかけてきたのだ。
湯長谷藩には4年前の飢饉の影響もあって蓄えがない。
もちろん、参勤するための費用がない。
政醇は家臣と領民を守るために、あえて理不尽な参勤を受け入れることに決めた。
家臣一の智恵者である家老・相馬兼嗣に策を練るように命じた。
相馬が考え出したのは、幕府の役人の監視のある宿場のみ日雇い中間を揃えて大名行列を組み、それ以外は、少人数で山中を走り抜けて、日にちを短縮するというものだった。
この話をしていると、政醇は怪しい気配を感じた。それは、一匹狼の忍び・雲隠段蔵が天井裏で盗み聞きしていたのだ。
段蔵は自分を山中の道案内人として雇ってくれと申し出る。
政醇以下の湯長谷藩一行総勢8人は、段蔵の先導の元江戸に向けて出発した。
政醇が参勤することを知った信祝は隠密を刺客として差し向けた。
山中。夜。
眠りについた政醇を殺しに隠密の夜叉丸と虎之助が現れる。
段蔵がそれを阻止した。
政醇は単身牛久宿に向かう。
相馬たちとの待ち合わせ場所の鶴屋に到着。
政醇は他の飯盛り女と揉めて折檻を受けていたお咲の姿を見る。
お咲を自分の部屋に呼び、腰もみをさせ、手首言負った傷に軟膏を塗り介抱した。
そのころ、相馬たちは廃寺で休息していた。
夜叉丸ら忍び衆が現れ命を狙われる。
辛くも逃げきった藩一行は家老の相馬と離れ離れになってしまう。
藩一行は、自分たちのいる場所が牛久宿の一つ先の藤代宿だと知り、政醇とは江戸で合流することに決め、後から追い着いて来た相馬と共に江戸に向かう。
政醇はお咲を連れて江戸に向かう途中、夜叉丸に見付かり殺されそうになる。
段蔵が現れ命を救われる。
取手宿。
相馬たちが、予定日を過ぎて着いたため、手配していた日雇い中間たちが全員帰ってしまう。
途方に暮れる相馬たちの前に内藤本家の磐城平藩・内藤政樹の行列が通りかかった。
「飢饉の時に援助してもらったお礼」として行列を「湯長谷藩の行列」として使わせてもれえることになった。
江戸。
政醇・お咲・段蔵に忍び衆の集団が襲い掛かる。
江戸屋敷の家臣たちを引き連れた相馬たちが現れ斬り合いになる。
政醇は急いで江戸城に向かう。
参勤交代の期限になんとか間に合った。
映画情報(題名・監督・俳優など)
監督:本木克英
脚本:土橋章宏
音楽:周防義和
主題歌:塩ノ谷早耶香『Like a flower』
出演:
内藤政醇/佐々木蔵之介
お咲/深田恭子
雲隠段蔵/伊原剛志
荒木源八郎/寺脇康文
秋山平吾/上地雄輔
鈴木吉之丞/知念侑李
増田弘忠/柄本時生
今村清右衛門/六角精児
徳川吉宗/市川猿之助
松平輝貞/石橋蓮司
松平信祝/陣内孝則
相馬兼嗣/西村雅彦
内藤政樹/甲本雅裕