Enya / Amarantineの紹介と感想(超おススメアルバム)

このアルバム

題名の「Amarantine」は「アマランタイン」と読み、ギリシャ語もしくはラテン語で詩人が「永遠の花」を語るときに使う言葉であるらしい。

いつものように、エンヤが作曲と歌を担当し、ニッキー・ライアンがプロデューサー、妻のローマ・ライアンが作詞を担当という不動のチームでの制作となっている。(通算6枚目)

今回の一つの目玉は、ローマ・ライアンの作詞にあるだろう。いつもなら、エンヤの曲に、英語、ゲール語、ウェールズ語、ラテン語、スペイン語などの詞をつけてきたが、このアルバムの数曲にはローマ・ライアンが作った造語・架空の言語”Loxian(ロクシャン)”が使われている。

この架空の言語を作るきっかけとなったのは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のために書き下ろした主題歌「May It Be」の制作の時のようである。J.R.R.トールキン原作の「ロード・オブ・ザ・リング(邦題:指輪物語)」では、”エルフ語”という架空の言語が登場する。

これが、”Loxian(ロクシャン)”のヒントとなったようである。”Loxian(ロクシャン)”で歌われているのは、1曲目、5曲目、12曲目である。

私が思うに、ローマ・ライアンは、エンヤの歌声を一つの楽器として捉えているのかもしれない。そのために、エンヤの曲にマッチする言語を模索しているのだろう。

異なる言語を使えば、その言語を母国語としている人以外にとっては意味のない音にしかならない。たとえどんなに詞が美しくても、それが感覚的に理解できるのは、その言語を母国語としている人だけである。その言語を母国語としている人以外にとっては、その言語のイントネーションや音の響き、リズムを感じるしかないのである。

だから、ローマ・ライアンが複数の言語を使用するのは、詞に意味を持たすこと以上に、エンヤの声を曲にマッチングするイントネーションや音の響き、リズムを持つ言語を使用することを優先していることを示しているように思う。

その究極が、造語を創り出すということだったのだろう。でなければ、一つのアルバムに複数の言語を使用する意味がない。

そういう意味では、7曲目のSumiregusa(菫草)も同じ範疇に入るものだと思う。

日本語で書かれた詞は、松尾芭蕉の俳句などからインスピレーションを受けたものであるという。聞き流してしまうと、日本語で歌われているのに気が付かないだろう。

だいぶ前に、日本語は本来発声の美しい言語であると聞いたことがある。例えば、濁音は音の濁らせ方押さえる方法があり、それが日本語の音が持つ本来の美しさなのだと。この曲は、日本語という言語の本来の美しさを伝えてくれる一曲かもしれない。

情けないことに、日本人は、昔から日本人が持つ固有の美しさを海外から教えてもらうことが多い。この曲を聴いて、日本語の”音”の美しさを前に出した曲が登場するのを期待したい。

おそらく、そういう曲は海外でも通用するだろうと思う。海外で活躍した日本人アーティストの多くは、日本の固有のメロディを何らかの形で使用していることが多い。それと同じ事である。オリジナリティのあるものでなければ海外では通用しない。日本人にとってのオリジナリティとは、日本固有の美意識に根付いたものを使用することであると思うが如何だろうか。

5曲目は、Enyaには珍しく、ドラム・パート(バスのみ)が入っている。他の曲に関しては、今まで通りのEnyaの世界が繰り広げられている。

一つのアルバムの制作にこれだけの時間をかけられるアーティストは少ない。そして、その長い間隔において、絶えず制作を続けているアーティストも少ないのではないか。そして、一切の妥協をしない姿勢は、音楽に対する姿勢がとても真摯であると思う。

※この系統の音楽で他のアーティストを探したい場合は「美しき曲たち ワールドでファンタジックな音色」が多少なりとも参考になると思います。

曲目

Enya-Amarantine
Enya
2005
Album title
“Amarantine”
Label : Warner Music UK

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1 Less Than A Pearl
2 Amarantine
3 It’s In The Rain
4 If I Could Be Where You Are
5 The River Sings
6 Long Long Journey
7 Sumiregusa
8 Someone Said Goodbye
9 A Moment Lost
10 Drifting
11 Amid The Falling Snow
12 Water Shows The Hidden Heart

アルバムの評価

★★★★★★★★★☆
【評価の内訳】4.8
【構成・バランス】A=2
【飽きのこなさ】A=2
【曲の好み】Av.0.8
Aランク:-
Bランク:1曲目、2曲目、4曲目、5曲目、6曲目、7曲目、8曲目、9曲目、11曲目、12曲目

Enya(エンヤ)プロフィール

Enya、1961年5月17日生まれ。本名をEithne Ni Bhraonain または Enya Brennanという。
アイルランドの北部に生まれた彼女の家は音楽一家であった。Enyaはピアノを身につけ、クラシック音楽を学んだ。
18歳のとき彼女の姉、兄らが1970年代に結成したClannad(クラナド)に参加している。Clannadには長姉のモイア・ブレナンがおり、Enyaが抜けた後、Theme From Harry’s Gameがヒットした。
Enyaは、Clannad脱退後、Nicky Ryan(ニッキー・ライアン)と、彼の妻Roma Ryan(ローマ・ライアン)と共に音楽作りを始める。イギリスのBBCのテレビドキュメンタリー番組「The Celts」のためのサウンドトラックを制作し、1987年「Celts」でソロ・デビュー。
1988年に、アルバム「Watermark」からのシングルカット「Orinoco Flow」がヨーロッパでセンセーショナルを巻き起こす。同時にアルバム「Watermark」もヒットする。この一枚でEnyaの事実上の地位が確立された。これ以降、彼女のリリース期間が長いのは、彼女の完璧主義もあるが、商業的に急いでリリースする必要がない、Enyaの不動の地位があるためでもあろう。