映画「風と共に去りぬ」(1939年)を観た感想と作品のあらすじや情報など

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感想/コメント

★★★★★★★★★☆

良き時代のハリウッド映画

日本での初公開は戦後の1952年。

231分という3時間を超える映画。長いので、幕間を挟んで前編・後篇に分かれている。そして、本編が始まるまでが長い。

さらに、映画史上で見ておかなければならない映画の一つである。

映画を見ればわかるが、ちゃちなセットや効果は使っていない。金と人と時間を費やした映画で、こうした映画は今の映画界では作れないだろう。良き時代のハリウッドの最高峰の映画と言っていいと思う。

セットや音楽

だが、主人公のスカーレット・オハラをはじめとする個性豊かな登場人物などで、映画の好き嫌いはわかれるだろう。

そうだとしても、この映画は一度は見ておかなければならない映画の一つだということには変わりがないと思う。

セットなどにかけている手間暇もそうだが、この映画は音楽にも力を入れている。テーマ曲の「タラのテーマ」を耳にしたことのある人は多いだろう。サントラ史上、有数に有名な曲である。

タイトル

タイトルの「Gone with the Wind」はアーネスト・ダウスンの恋愛詩「シナラ」からとったもの。本編開始のところで詩が出てくる。

There was a land of Cavaliers and Cotton Fields called the Old South.
Here in this pretty world, Gallantry took its last bow.
Here was the last ever to be seen of Knights and their Ladies Fair, of Master and of Slave.
Look for it only in books, for it is no more than a dream remembered,
a Civilization gone with the wind

南北戦争という「風」と共に、アメリカ南部白人たちの貴族文化社会が消え「去った」ということである。

スカーレット・オハラ

本編開始早々。オハラ家のポーチでスカーレットのセリフ「明日のことは、明日考えるわ」が映画全体の伏線になっており、最後の有名なセリフへと続く。

After all, tomorrow is another day.

明日は明日の風が吹く」と訳すことが多かった。最近では「明日という日がある」と訳されることが多くなっている。より原文にということだろう。

だが、翻訳としては、「明日は明日の風が吹く」、の方が素晴らしいと思う。ニュアンスが伝わる。この場合のニュアンスとは、スカーレットの性格を反映しているかどうかということである。

本編開始早々の「明日のことは、明日考えるわ」は、まだ成熟していない若者の表現であるが、「明日は明日の風が吹く」という少々吐き捨てるような表現は長い人生を経た者の口から出るセリフとしてぴったりだと思う。

こうしたセリフに象徴されるように、スカーレットという女性は、自由奔放でわがまま、他人への配慮などは金輪際ないが、言い換えれば周囲に惑わされない強い意志を持った人間ともいえる。こうした人間へははっきりと好き嫌いが出るだろう。

逆にメラニーはスカーレットと真逆なので、アンチスカーレット派にとっては、メラニーに救いを見いだせるのではないかと思う。

スカーレットの性格はともかくとして、常に現実を直視し、それに立ち向かう姿というのは印象的である。何が何でも生き抜いて見せる、絶対に逃げないというのは、極めてレジリエンスの高い人物である証拠である。スカーレットにあこがれる人は、このレジリエンスの高さにあこがれるのだろうと思う。

さて、冒頭で父親ジェラルドがスカーレットに語りかけるシーンで、アイルランド人が土地への愛着・執着が強いというのは初めて知った。日本人にとってはとても理解しやすいメンタリティである。アイルランド人の気質の一部分は日本人の気質に通じる部分があるのかもしれない。

他の登場人物

スカーレットと真逆の個性であるメラニーは、まさに聖人と言ってもいい。友人とすべきなら、スカーレットではなく、メラニーであることは間違いない。スカーレットも、なんだかんだ言いつつ、メラニーの世話をし続けているのだから、メラニーの人格に終始頼り続けたのだろう。自分の人格の補完と言ってもいいのだろう。そして、メラニーもスカーレットを頼りにするのだから、メラニーにとっても、自分にないものを持つスカーレットの人格に惹かれていたのかもしれない。

男性陣と言えば、アシュレーは正直魅力に乏しいので、何か感じることはない。アシュレーに比べれば魅力的なのがレット・バトラーだが、うーん、まぁ、アシュレーに比べればという程度でしかない。

アシュレーを演じたイギリスの俳優レスリー・ハワードは、当時40代でアシュレー役には乗り気ではなかったようだ。娘に宛てた手紙で『あんな役は大嫌いだ。私はアシュレーを演じられるほどハンサムでもないし若くもない。若く魅力的に見せるためにメイクで手直しされるのは嫌な気分だよ。』

主要な登場人物の中で、侍女マミーの役どころがよかった。彼女の存在が、映画にアクセントをくわえてくれている。そして、マミーを演じたハティ・マクダニエルはアカデミー賞にノミネートされ、受賞した最初のアフリカ系アメリカ人となった。

この映画は、女性の登場人物の個性が上手く描かれているのが、最大の魅力だろうと思う。

4人の主要登場人物が一堂に会するのは1度だけ

4人の主要な登場人物であるヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、オリヴィア・デ・ハヴィランド、レスリー・ハワードが一堂に会するのは1度だけである。

後半早々になるが、レット・バトラーがアシュレーたち連れて帰るシーン。妻たちが家で夫たちの帰りを待ち、そこへレット・バトラーたちが酔っぱらったふりをして戻ってくるシーンだけである。

脚本家たち

脚本家は16人いたそうだ。

脚本家としてオスカーを受賞しているのはシドニー・ハワードだったが、脚本が6時間にもなるので、彼以外の15人の脚本家が脚本を短くするために奮闘したという。

その中にF・スコット・フィッツジェラルドがいた。グレート・ギャツビーで有名な小説家だ。グレート・ギャツビーは何回も映画化されている。例えば2013年の華麗なるギャツビーなどだ。

故郷タラ

タラは架空の地だが、モデルとなっている場所がある。アトランタから南へ下った場所にある「ジョーンズボロ」だ。

原作者マーガレット・ミッチェルの祖父母が住んでいた場所である。

タラの名前はアイルランドのミース州ナヴァンにある丘陵「タラの丘」からとられている。アイルランドの伝説の国が存在した地として知られる。アイルランド人にとっての心の故郷ということである。

あらすじ/ストーリー

園遊会

アメリカ合衆国。1861年。

オハラ家のポーチで双子のタールトン兄弟が戦争の話をしている。スカーレットは戦争の話はいやだった。それに気が付いたタールトン兄弟は話題をウィルクスの園遊会のことを変えた。

ジョージア州タラの大地主ジェラルド・オハラはアイルランド系移民。その長女・スカーレットは、同じ上流階級の長身の美青年アシュレー・ウィルクスに恋をしていた。そのアシュレーと彼の従妹メラニーの婚約が発表されると聞きスカーレットは心が揺れていた。

ある日、アシュレーのウィルクス家で開かれるパーティに出席した。パーティでスカーレットの美貌は多くの青年から注目されていたが、彼女はアシュレーとの結婚を強く望んでいた。

スカーレットはパーティ席上で、チャールストン生まれの船長で、評判の悪いレット・バトラーと出会った。第一印象は良くなかった。

パーティ当日にスカーレットは想いをアシュレーに告白した。アシュレーはスカーレットに魅かれていることは認めながらも、彼は互いを理解できるメラニーとの結婚を心に決めていたのだ。

アシュレーが去った後、スカーレットはそばにあったウィルクルス家の花瓶を投げつけた。一部始終を目撃してしまったレット・バトラーは、スカーレットに強く魅かれた。

南北戦争

南北戦争が始まった。

スカーレットは失恋からやけになり、アシュレーへの当て付けのためにメラニーの兄チャールズからのプロポーズを受け入れてすぐに結婚してしまった。その前日にアシュレーとメラニーの結婚式が行われていた。

アシュレーとチャールズが出征していったが、ほどなくしてチャールズが戦争中の病に倒れ亡くった知らせが舞い込んだ。

スカーレットは未亡人として喪に服す生活を続けていたが、耐え切れずアトランタのメラニーの許を訪ねた。

そこではバザーのためのパーティが開かれていた。スカーレットはそのバザーで偶然にレット・バトラーと再会した。そして、喪服姿でダンスパーティに参加した。

アトランタ脱出

戦況は南軍に不利だった。スカーレットとメラニーは看護婦として働いたが、アトランタは北軍の侵攻に脅かされつつあった。

アトランタには北軍が接近してきていた。すぐにでも故郷のタラに戻りたかったスカーレットだったが、メラニーが妊娠し臨月を迎えていたので、出産を終えるまで身動きができなかった。

スカーレットはレット・バトラーを頼り、出産したばかりのメラニーと子どもらと一緒に
故郷ジョージアのタラを目指した。

危険地帯を通り抜けた後、レット・バトラーは南軍に入るので、別れるとスカーレットに告げた。スカーレットに情熱的な口付けを残して、レット・バトラーは前線へ向かった。

故郷タラ

残されたスカーレットたちはようやくタラへ到着するが、母・エレンは腸チフスで病死しており、父はショックでもうろくしていた。一夜にしてオハラ家の主となったスカーレットは、皆を飢えさせない事と故郷タラを守る事に集中することになった。

南北戦争が終わった。

南軍は敗北した。捕虜になっていたアシュレーも戻りメラニーを喜ばせた。スカーレットは再びアシュレーに愛を告白するも受け入れられなかった。

戦争に負けたタラは重い税金を課された。

スカーレットは土地を守る決意をして、北軍に捕らえられていたレット・バトラーに金を借りに行くが断られてしまう。

商売

税金の工面に窮したスカーレットは、スカーレットの妹・スエレンの婚約者・フランク・ケネディが事業に成功している事を知ると、フランク・ケネディを奪って第二の結婚をした。そして、アシュレーを仲間に引き入れた。その後、スカーレット自分が事業を仕切り、金儲けのために生きはじめた。

北軍の移住者のために働き始めた事からスカーレットのもとから人が離れて行った。メラニーを始めとするウィルクス家の人々とレット・バトラーだけが彼女から離れなかった。

ある日、スカーレットが製材場に行く途中、襲われる事件が起きた。フランクやアシュレーらが制裁を加えるために動いた。北軍がそれに気づき、フランクやアシュレーらを逮捕に動いたが、レット・バトラーの機転によりアシュレーは逮捕を逃れた。たが、反撃を受けてフランクが銃弾に倒れていた。

レット・バトラーとの結婚

スカーレットは再び未亡人となった。そのスカーレットにレット・バトラーは求婚し、スカーレットは結婚に応じた。

やがて二人の間に娘・ボニーが生まれた。スタイルが悪くことなどから、スカーレットはもう子供を産まないと誓った。それは、アシュレーへの想いだった。それを知ったレット・バトラーは娘のボニーへのみ愛情を注いだ。

二人の気持ちはすれ違い、結婚生活の不和からレット・バトラーはボニーを連れロンドンへ行ったが、ボニーが母スカーレットを慕い再び戻った。

だが、ある日、ボニーが落馬して死亡してしまう。娘・ボニーの死により、スカーレットとレット・バトラーを結ぶものはなくなった。

明日は明日の風が吹く

メラニーが死の床にあった。メラニーの死の間際、メラニーからレット・バトラーの自分に対する愛情を知らされ、スカーレットは自分が愛しているのはレット・バトラーであることに気付いた。

スカーレットは急いで帰宅し、心から謝罪し愛を打ち明ければわかってくれ二人の関係も回復するだろうと思っていた。

だが、レット・バトラーはメラニーの死と共に、スカーレットがアシュレーと一緒になるものだと思い込んでいた。だから、レット・バトラーは、スカーレットのもとから去り、故郷へ帰ることにした。

全てを失ったスカーレットには故郷タラの土地しか残されていなかった。スカーレットは故郷に帰り全てをやり直す決意を固めた。

映画情報(題名・監督・俳優など)

gonewiththewind
風と共に去りぬ
(1939年)

監督:ヴィクター・フレミング
製作:デヴィッド・O・セルズニック
原作:マーガレット・ミッチェル
脚本:シドニー・ハワード
撮影:アーネスト・ホーラー,レイ・レナハン
音楽:マックス・スタイナー

出演:
スカーレット・オハラ/ヴィヴィアン・リー
レット・バトラー/クラーク・ゲイブル
アシュレイ・ウィルクス/レスリー・ハワード
メラニー・ハミルトン/オリヴィア・デ・ハヴィランド
ジェラルド・オハラ/トーマス・ミッチェル
エレン・オハラ/バーバラ・オニール
マミー/ハティ・マクダニエル
スエレン・オハラ/イヴリン・キース
キャリーン・オハラ/アン・ラザフォード
ミード医師/ハリー・ダベンボート
ピティパットおばさん/ローラ・ホープ・クルーズ
フランク・ケネディ/キャロル・ナイ
ベル・ワトリング/オナ・マンスン
ボニー・バトラー/カミー・キング
ドーリー/ジェーン・ダーウェル
トム/ウォード・ボンド

受賞

第12回アカデミー賞

  • 作品賞
  • 監督賞
  • 主演女優賞
  • 助演女優賞
  • 脚色賞
  • 撮影賞(カラー)
  • 室内装置賞(美術賞)
  • 編集賞
  • 特別賞

1939年 第5回ニューヨーク映画批評家協会賞

  • 女優賞