映画「ベン・ハー」(1959年)を観た感想と作品のあらすじや情報など(おすすめ映画)

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※ネタバレ満載ですのでお気をつけください。
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感想/コメント

見ておくべき映画の一つ

★★★★★★★★★★

映画史上で見ておかなければならない映画があるとしたら、本作はそうした作品の一つになるだろう。だが、とにかく長く、210分を越えるため、途中で幕間休憩が入る。

映画は、ローマ帝国支配時代のユダヤ人王族のジュダ・ベン・ハーの数奇な半生にイエス・キリストの生涯を交差させて描かれている。

アカデミー賞

本作はルー・ウォーレスによる小説「ベン・ハー」の3度目の映画化作品であり、名匠ウィリアム・ワイラーがメガホンを取った。アカデミー賞にて11部門を獲得した。この記録は「タイタニック」(1997年)、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(2003年)がタイ記録を樹立するも破られていない。

当時、54億円もの制作費が投入される大作だった。制作費の多くはセットで費やされたのではないかと思える作りである。

見どころ

見所はクライマックスの戦車競争のシーン。実物大に組まれた競技場のセットでの戦車競争シーンは見応えがある。

しかし、実際にこれだけの規模のセットを作ってしまうとは…今ならあり得ないし、あれだけのエキストラを使うことも考えられない。

だが、この映画一本で倒産寸前だったMGMを一気に立て直すことができた。大ヒット作品となり、映画史上に残る名作となった。

なお、この戦車競争のシーンは、「スター・ウォーズepisode1ファントム・メナス」のポッド・レースとよく似ている。

イエス・キリストの生涯との交錯

始まりと終わりはイエス・キリストの生誕と死である。

実に興味深いのは、キリストの生誕と死と、ユダヤ人の青年の話を絡めている点である。主人公のジュダ・ベン・ハーはユダヤ人であり、ユダヤ教徒である。

映画では宗教として誕生したばかりのキリスト教は、ユダヤ教の一種の分派のような描かれ方になっている。分派のようなというのは、イエス・キリストを「ラビ」と呼んでいるからである。ラビとはユダヤにおける宗教指導者のような立場の人間を指す。

映画としてスペクタクル性を求めるなら、キリストの生誕と死を映画に挿入する必要はない。ジュダ・ベン・ハーが臥薪嘗胆のすえメッサラに復讐するという単純な構図でいいからである。

なぜわざわざイエス・キリストの生誕と死を映画で描いたのか?それこそが、この映画の大きなポイントであろう。

最後のシーンの「奇蹟」を見せるため?いやそんな単純なことではないだろう。

その意図は、見るものによって解釈が異なるかもしれない。だが、多様な見方ができるという点においても、この映画は単なるスペクタクル映画ではないということを示している。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

ベン・ハーとメッサラ

エルサレムの夜。東方からの3賢人は星を見ていた。星の下の厩で一人の男児が誕生した…。

紀元26年、ナザレの村をローマ軍の一行が通り、エルサレムに向かっていた。ヨセフの息子の姿もあった。ローマから一人の司令官が派遣される。彼の名前はメッサラ。

メッサラの新任を祝いに駆けつけたのは、ユダヤの王族ハー家の長男ジュダ・ベン・ハーである。ベン・ハーとメッサラは幼な友達で、ユダヤ人とローマ人ながら二人は強い友情で結ばれていた。

メッサラがベン・ハーの屋敷を訪れた。ベン・ハーの母ミリアム、妹ティルザもメッサラを暖かく迎えた。

メッサラはベン・ハーに反抗者を密告するように迫る。だが、ベン・ハーは拒否した。

二人の立場はエルサレムでは支配者と被支配者。そのことが二人の友情に亀裂を生むことになる。

ハー家の奴隷シモニデスが一人娘のエスターを連れ挨拶にきた。エスターが嫁入りするので、許しを得に来たのだ。

総督暗殺未遂の濡れ衣

新任のグラトゥス総督がローマの部隊を引き連れエルサレムに入った。グラトゥス総督の馬が真下に来たその時、ティルザが触れた瓦が外れて滑り落ち、総督の馬の近くで砕けた。

馬が驚いて暴れ、総督は振り落とされた。新総督が事故にあいそうになる事件が起きたことで、ベン・ハーは総督暗殺未遂の濡れ衣をきせられる。

故意ではなく、事故なのは明白であったが、メッサラはベン・ハー一家3人を逮捕した。メッサラは先日のベン・ハーの拒否に仕返ししたのである。

奴隷となったベン・ハー

ベン・ハーの母ミリアムと妹ティルザ は地下牢に入れられ、ベン・ハー自身は奴隷の身分に落とされとしてローマ軍船へ送られた。ガレー船の漕ぎ手をする刑を言い渡されたのだ。

ガレー船に乗る罪人の列にベン・ハーの姿がある。咽喉が渇ききっていた。ナザレの地に来た時、ベン・ハーに近づき水を差し伸べた人物がいた。ベン・ハーは水をむさぼった。ベン・ハーはこの人を忘れなかった。

3年後

3年後、総勢120名の漕ぎ手の中にベン・ハーの姿がある。メッサラに対する復讐心で生き残っていた。

ベン・ハーは海戦において司令官アリアスの命を救った。ベン・ハーは奴隷の身分から解放され、アリウスの養子として迎えられていた。それから一年余、ベン・ハーはローマの市民権を得て戦車競争の騎手として名を馳せるようになった。

祖国の地

ベン・ハーは母と妹の安否が心配で、アリウスのもとを去ってエルサレムに向かった。

ベン・ハーは4年ぶりに祖国の地を踏んだ。ここでベン・ハーはバルタザールに出会う。厩に訪れた3人の賢人のうちの一人だ。彼は成人した筈の救い主を探す為、イスラエルの地に来ていた。

バルタザールはアラブの族長イルデリムの客人として世話になっていた。イルデリムは近々エルサレムで行われる戦車競争に出場させる為、馬の調教をしていた。

イルデリムはベン・ハーに騎手として出場して欲しいと依頼した。ベン・ハーには母と妹を探し出すことの方が先決であり、申し出を断りエルサレムに向かった。

我が家

荒れ果てた我が家。そこでハー家の財宝を守っていたサイモニデスとその娘エスターにめぐり合った。サイニデスはメッサラに捕らえられて激しい拷問を受け、不自由な身となっていた。母と妹の消息は依然不明であった。

ベン・ハーはローマのアリウス2世としてメッサラのもとへ単身乗り込んだ。ベン・ハーはメッサラに母と妹をすぐに探し出すよう脅した。メッサラはすぐに部下に命じ地下牢を調べさせた。二人は生きていたが、なんと業病に侵されていた。

牢の奥深くに閉じ込められた母と妹が業病の谷に送られる前にハー家に立ち寄った。そこでエスターに見つかってしまう。母と妹はエスターに2人は地下牢で死んだとベン・ハーに告げてほしいと懇願した。エスターは業病の谷に食事を運び二人の世話をした。

ベン・ハーは母と妹が死んだという報に涙し、メッサラへの復讐の鬼と化した。

戦車競争

ベン・ハーは2人の仇を討つことを誓い、イルデリムが集めた優秀な4頭の馬を操って円形競争場での大戦車競争に出場し、メッサラを破った。

戦車から振り落とされて後続の馬に踏みつぶされ、重傷を負ったメッサラはベン・ハーの母と妹は業病の谷にいるとベン・ハーに告げた。

ベン・ハーはエスターの後を追って業病の谷にいる母と妹に再会した。ベン・ハーはローマを憎み、アリウスの息子である証の指輪を返上した。

イエス・キリストの最期

業病の谷からの帰りみち。丘の上に人々が歩いて行く。バルタザールがベン・ハーを見つけ近づいた。間違いなく神の御子だという。

キリストの反逆罪裁判が行われ、死刑の宣告がされた。十字架を背負ったキリストがエルサレムの街路を歩んでいく。

目の前をキリストがすぎ、ベン・ハーはその人の顔を知っていたことに気が付く。かつて自分に水を恵んでくれた人だった。

処刑後。空模様が急変した。雷鳴が轟き、大雨が大地に注がれ、キリストの血を洗い流した。

映画情報(題名・監督・俳優など)

BenHur
ベン・ハー
(1959年)

監督:ウィリアム・ワイラー
製作:サム・ジンバリスト
原作:ルー・ウォーレス
脚本:カール・タンバーグ
撮影:ロバート・L・サーティース
音楽:ミクロス・ローザ

出演:
ジュダ=ベン・ハー/チャールトン・ヘストン
メッサラ/スティーヴン・ボイド
クインタス・アリウス/ジャック・ホーキンス
族長イルデリム/ヒュー・グリフィス
エスター/ハイヤ・ハラリート
ミリアム/マーサ・スコット
ティルザ/キャシー・オドネル
サイモニデス/サム・ジャッフェ
バルサザー/フィンレイ・カリー
ポンシャス・パイラト/フランク・スリング
ドルーサス/テレンス・ロングドン
セクスタス/アンドレ・モレル
フレビア/マリナ・ベルティ

受賞

第32回アカデミー賞 11部門受賞

  1. 作品賞
  2. 監督賞 – ウィリアム・ワイラー
  3. 主演男優賞 – チャールトン・ヘストン
  4. 助演男優賞 – ヒュー・グリフィス
  5. 美術賞 – ウィリアム・A・ホーニング エドワード・C・カーファグノ
  6. 撮影賞 – ロバート・L・サーティース
  7. 衣装デザイン賞 – エリザベス・ハフェンデン
  8. 編集賞 – ラルフ・E・ウィンタース
  9. 劇映画音楽賞 – ミクロス・ローザ
  10. 音響賞 – フランクリン・E・ミルトン
  11. 視覚効果賞 – A・アーノルド・ギレスビー

第17回 ゴールデングローブ賞

  1. 最優秀作品賞(ドラマ)
  2. 最優秀助演男優賞 – スティーブン・ボイド
  3. 最優秀監督賞 – ウィリアム・ワイラー

第13回 英国アカデミー賞

  1. 作品賞

参考書籍

この時代を扱っている本。
塩野七生の「ローマ人の物語 第6巻 パクス・ロマーナ」
塩野七生の「ローマ人の物語 第7巻 悪名高き皇帝たち」